豊島逸夫の手帖

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綿棒が足りない

2020年4月20日

トランプ大統領が3段階での封鎖経済解除を発表。
株式市場は評価して上昇したが、週末には大統領と州知事たちの間の亀裂が表面化。国民の間でも「これ以上封鎖生活には耐えられない。」とのデモに対して、「今、経済封鎖解除は時期尚早だ。」と危惧する意見と国内で割れる。
医療専門家たちは拙速な解除が感染第二波を誘発する可能性を危惧する。

クオモNY州知事は「大統領は封鎖解除の責任を逃れ、州知事に転嫁している。州ごとに決断せよと言うなら、それなりの予算もよこせ。」この記者会見発言にトランプ氏は直ちにツイッターで反論。
「不満はいい加減にして、実行に動け。」(Act more Complain less)

フロリダ州のジャクソンビルでは早くも一部ビーチを解放。近隣からも多くの人が訪れ、たちまち対人距離など無視する状況となった。
先述のデモも対人距離無視の群衆集団となっている。
これ、日本にとっても他人事ではない。

日曜の公園は普段より多いほどの人出も見られる。自粛生活の不満が溜まっている。しかし日本では法律でロックダウンできないから国民の規律順守意識に頼むしかない。
米国の惨状を私は日本の予告編として見ている。

なお米国の経済再開にあたっては、市民がどれだけ抗体を持っているか、無作為抽出で統計的意味ある数字を出して検討する必要がある。コロナ感染陽性か陰性かとの検査とは別の検査だ。ところが検査用綿棒が足りないことが判明。思わぬところに問題が生じている。

それにしても毎日日本時間朝に開催されるコロナ関連大統領定例記者会見でのトランプ発言は支離滅裂状態だ。大統領選挙視野にできるだけ早く開放したい意図ばかりが先走りしている。発言も専ら「自画自賛」のPRばかり。ステージに控える医療担当部門の人たちが語る時間が極めて少ない。専門家発言中に割って入り「それは私の決断が正しかったからだ。」と主張したり目に余る。それでも支持率は46%。バイデン民主党候補と拮抗している。

マーケットは冷ややか。
NY株も所謂「半値戻し」まで反騰したところで下げ始めた。

金スポット価格は1700ドル以上の警戒水域に入り売りが先行。1680ドル台まで下げている。これは単なる利益確定売り。それでも価格水準としてはかなり高いレベルだ。

さて先週土曜朝は日経プラス10サタデーに生出演。
時節柄、自宅からの中継となった。
リビングルームの一角からマイク付きヘッドフォーンを付けてパソコンに向かって喋る。テレビ局の技術さんたちとも詳細に打ち合わせて本番。ネクタイ・ジャケット姿だが、下はジャージとスリッパ(笑)。私の声が1~2秒遅れるので微妙にタイミングがずれたりする。スタジオはキャスターとアナウンサーの二人だけ。いまいち盛り上がりに欠けるが、当面テレビ界はこうなってゆく。

なお私の髪の毛が伸び放題でボサボサ(笑)。どうも床屋へ行くことに抵抗感がある。それにしてもモニター画面で見て、伸び過ぎだなと感じた次第。

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2020年