2020年8月7日
首題のような質問を頻繁に受けます。
答えはその人の財産次第ですね。
おカネに余裕がある人は取りあえず10月くらいまで様子を見てもいいでしょう。11月になると3日には米大統領選挙、そして11~12月は金ETFをしこたま買い持っているヘッジファンドの決算期なので要注意です。それまでにもっと上がるか、ドンと下がるか。何せ理屈抜きの投機相場ですから、気まぐれトランプ大統領の一言ツイートで大きく動く可能性があります。トランプ大統領が何を言い出すか読める人など世界中に誰もいませんよ。これだけは確実なことです。ですからおカネに余裕があればカジノに行ったつもりで丁半博打に賭けてみるのも一興かもしれませんという程度の話です。
一方、大事な老後資金で金を買った一般個人投資家は徐々に売り始めて良いと思います。ゼロ金利の時代にこの金高騰でかなり儲かっているはず。いただけるものはしっかりいただくという気持ちは共感できます。売った後、更に金価格が高騰して、早く売り過ぎたと悔やむ可能性もありますが、そこは割り切って考えねばなりません。それが投資というものです。投資で最も難しいのは損切り売りではなく、利益確定売りなのです。最後は自分の欲との戦いですから。かくいう筆者もトレーダーとして利益確定売りのタイミングには悩み抜きましたよ。ですから気持ちは痛いほど分かります。なお売るにしても一度に全て売るのではなく、まず1/4程度売るなど、まとめ売りは避け、売り時を分散することも重要ですよ。
それから、現役、そして若い世代ならばできれば売らずに持ち続けた方が良いと思います。今、日本国はコロナ対応予算でとんでもない巨額の資金を使いつつあります。コロナだろうが何だろうが国の借金は借金。しっかり残りますから、その後始末で日本経済がかなり辛い目に会うと思います。その時に備えて財産を守る保険みたいな意識で金を長期保有しましょう。更に「積み立て」感覚で地味に買い増してゆくべきだと思います。あくまで資金的に余裕があればという大前提での話ですが。背水の陣の切羽詰まった投資はいけませんよ。焦りが悪い結果を招くことになりがちですから。
なお、プロ感覚では金高騰でポートフォリオにおける金の運用配分が大き過ぎる結果になっている事例も少なからず見られ、リバランスの売りが決算期には出やすくなるでしょう。
それから、最近は「銀」に関する質問も多いのですが、銀相場は市場が小さいのでハイリスク・ハイリターンの極致です。一応コモディティーとして需給要因はありますが、それを遥かに上回る投機マネーが席捲して超乱高下します。金銀比価などがまことしやかに説明、或いはセールスの材料として使われますが、コロナという未曽有の禍に見舞われた市場に過去の比価の歴史など参考にはなりません。単に金より単価がずっと安いから手を出しやすいという反応も危険です。各自の投資資金は変わりませんからね。同じ金額で銀の方が量をいっぱい買えて「お得感」など錯覚に過ぎません。
銀投資は堅気の素人衆には心臓に悪い。海千山千の「ツワモノ」限定商品と心得ましょう。