豊島逸夫の手帖

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ダウ30000突破、実体経済から遊離

2020年11月26日

コロナ感染が米国内でも急拡大中で、地域的ロックダウンも相次ぎ、失業者は未だ1千万人以上残り、肝心の時に大統領交代で政治空白。コロナ追加予算議会承認もままならない。

このような状況下でなぜ米国株は過去最高値を更新するのか。
確かにワクチン開発によりトンネルの先の光は見えてきた。
とは言えワクチン効果は実際に接種してみないと分からない。思わぬ副作用も覚悟せねばなるまい。国民全員に短期接種という未曽有の大事業はロジ周りだけでも容易ではない。

それでも株が買われるのは、やはりコロナ対策として有事対応で兆ドル単位のマネーが次々にばら撒かれたからであろう。株投資の待機資金は1兆ドル以上と言われる。
(その溢れたマネーの一部が金にも向かってきた)
大統領選の混乱がどうやら収束に向かってきたことも市場に安心感を与える。

米国株式市場では、従来株投資で儲けるのは富裕層で、貧富格差拡大の一要因になった。しかし今回のコロナ禍では自宅待機で時間を持て余す層が初心者として株式投資を始める事例が目立つ。ロビンフッドというアプリ経由で売買注文を入れてくるのでロビンフッダーという用語が米国流行語大賞に選ばれそうだ。富裕層ではなく一般人の集団である。FXの世界のミセスワタナベと同様に、束になってかかってくると無視できない投資集団になる。初心者の動きを読むことはプロにとって苦手でもある。

そして日本の株式市場では、外国人投資家の買いと日本人個人投資家の売りという構図になった。直近では安く買った外国人投資家が早々と利益確定売りを入れ、遅ればせながら日本人個人投資家が高値圏で買いに回っている。どうも日本人が後手後手に回り、外国人集団に引っ掻き回されているのが実態だ。日本人として歯がゆい。

さて、コロナ冬の波が日本でも益々深刻化。
気になるのは海外出張の規制緩和などで、今後欧米型の強いコロナウイルスが侵入してくる可能性だ。日本人が海外出張して帰国しても「最近海外からの帰国者は診療お断り」の病院が多くPCR検査が受けにくい。水際チェックをすり抜けて欧米型ウイルスが入ってくるリスクを指摘する専門家も多い。仮にこのリスクが顕在化すると一気に死者数が増える結果になりかねないことが懸念されている。

今週は米国が感謝祭。日本のお盆のような日なので家族一同実家に集うのが常なのだが、今年も専門家集団からの警告にも関わらず空港は大混雑だ。日本の年末年始と同じリスクを抱えている。実は我が家でも大晦日に友人を招いて除夜の鐘を聞くのが恒例なので他人事ではないよ。正直迷う。多分今年は自粛するつもり。万が一、無症状で家庭内感染になるとお互いが嫌な気分になるものね。

2020年