2020年7月2日
今年も7月に入ったところで、凄い数字が信頼できる某筋から事前リークされてきた。
世界で上場されている様々な金ETFの残高が今年前半に730トン増えたのだ。年間金生産量が3400トンほどの市場でこの規模の需要は効く。仮に年後半も同ペースとすれば1400トン。年間生産量の半分近くに達する。あるいは中国やインドの年間需要量に近い数字とも言える。
問題はこの影響だ。良くもあり、懸念材料にもなる。
良い方は言うまでもない。
懸念の方は金ETFを買った投資家が利益確定売りに走る場合だ。
そもそも初の金ETFの組成には筆者も関与したのだが、ターゲットは年金基金であった。米国年金基金が金を買う場合には、現物だが有価証券でなければならないという制約のもとで開発された。それゆえ、まずは年金が金ETFを買ったのだが、市場規模が大きくなるにつれ、ヘッジファンドの参入も顕著になった。その結果、金ETF全体の半分程度はヘッジファンド購入・保有と推定される。となると彼らが買った分は早晩売り手仕舞われる宿命にあるのだ(年金は10年以上長期保有するのだが)。
国際金価格が今後も騰勢を続け、仮に1900から2000ドルになった場合、金市場は相当量の金ETF売り戻し攻勢に見舞われることになろう。あるいは現水準から価格が伸び悩むと「もう、このあたりで売れれば御の字」とばかりに、利益確定売りが集中するケースも考えられる。
一方で現在進行形の価格急騰のモメンタム(勢い)に乗り、新規買いに動くヘッジファンドも出てくるだろう。
筆者は今の勢いが米大統領選挙までは継続して史上最高値更新はあり得ると見ているが、後の下げもきつくなろう。
ちなみに昨日の日経ではこのようにコメントした。
以下抜粋。
国際価格の上昇を受けて円建て金価格も高騰した。東京商品取引所の金先物は1日午前に一時1グラム6200円台まで上昇し、2日連続で過去最高値を付けた。国内地金商が取り扱う金地金の価格も最高値を更新した。
マーケットアナリストの豊島逸夫氏は「コロナ不安の中で安全資産を求めるマネーの勢いは強く、1トロイオンス1900ドル台の史上最高値の更新も視野に入る」と指摘する。以上
ギリシャ危機で史上最高値を付けた時は、昨日掲載の10年金価格グラフでも明らかなように、1800~1900ドル台は極めて短い期間の出来事であった。前回の相場形成を逆V字型とすれば今回は逆U字型になりそうである。
下げの要因として考えられることがコロナワクチンの開発成功だ。金価格が急落しようとも、私はワクチン開発に早く成功してほしいと思う。