豊島逸夫の手帖

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東京封鎖懸念、不要不急の投資は避けよ

2020年3月27日

以下は、昨日日経電子版の筆者コラムに首題の見出しで書いた原稿である。

日米とも個人投資家が動揺している。株価変動がここまで激しくなると、いくら「長期投資」と言っても心臓に悪い。相場など見て一喜一憂するなと言われても、これだけ派手に報道されると、いやでも見出しが目に入ってくる。

投資の神様といわれるバフェット氏も今回は沈黙を保ったまま。あの方でさえ、迷っているのか、との噂が流れる。

25日にはバーナンキ元FRB議長がテレビ出演で「これから1四半期か2四半期、雇用や経済成長率に関して非常に悪い経済統計が発表されよう。その後、回復が見込まれる」と語って注目された。年後半は良くなるという前提で考えても、まずは、目の飛び出るような経済統計悪化は必至の情勢で、その悪夢に個人投資家が耐えられるだろうか。

安全資産とされる金でさえ、かなり売り込まれる局面があった。「換金売り」と言われてもピンとこない人が多い。

「世界で預金引き出しの動き」「プロの運用でも現金比率高まる」と聞かされると、「私もこの際、たんす預金持って引き籠ろうか」という気にもなってしまうようだ。筆者も、集会回避から今や主流になったネットセミナーで個人投資家の書き込みから、一人部屋に閉じこもりスマホ画面を見つつ将来を案じる心の揺れをヒシヒシと感じている。

米国でも、隔離、自宅待機状態に置かれた個人投資家たちのネット使用頻度が急速に高まっている。家族と触れ合う時間が増え、将来の人生設計について考える時間も増えた。日本より遥かに株式投資が普及しているので、ツワモノ(自称)が相場の嵐に敢然と立ち向かい、奮戦むなしく散った、などのエピソードが少なくない。

かくの如く騒然としたマーケットに身を置く筆者の個人投資家へのアドバイスは「不要不急の投資は避けよ」。

コロナウイルスの今後の展開を正確に読める人は世界に誰一人いない。これだけは確かなことだ。更に厄介なことにトランプ相場も同時進行している。これまたトランプ相場がどうなるか、正確に読み切れる人はいない。何せ、トランプ大統領自身がどうするか分かっていないことは明白なのだから。ゆえに、コロナ相場もトランプ相場も出遅れまいと焦る必要は全くない。焦ってギャンブル的売買やって、得するのは業者だけだ。

かく言う、偉そうなことを言っている筆者も、自身の資産運用は、株も金も「積立」に徹している。よくセミナーでプロなのだから裏技を披露せよ、と迫られる。プロほど自らの資産運用は地味なものだ。修羅場を潜り抜け、相場に将来を映す水晶玉はないことを体験しているからだ。

この週末は不要不急の外出は控え、じっくり、おカネのことを含め人生設計について考えてみる良い機会になろう。

以上

なお、今日発売の週刊現代特集「あなたの老後資金 今やっておくべきこと」(37ページから44ページ)で生々しく株予想して、最後に金を薦めている(取材は先週時点、これが怖い 笑)。

「ダウで言えば、1万7千ドル、日経平均は1万5千円が底入れの目安(コメントも)」

「5月か6月になれば、今の経済の実力における均衡点が見いだされる相場になるでしょう。ダウで言えば2万1000~2万2000ドル、日経平均なら1万8000円~1万9000円の予想です」「日本経済は7-9月期でもゼロ成長が続き、10-12月期でようやくプラスを戻してゆくことが想定されます」

年末に向け「ダウは2万5000ドルまで戻る(コメント省略)。

日経平均は2万円台に回復すれば御の字でしょう。下落すれば日銀が買い入れていく官製相場が続いた日本では、米国に比べれば海外を含めた投資家が寄り付かない」

3-5年のスパンで見れば「ダウ平均3万ドル、日経平均2万5000円まで戻すでしょう。中国もまだ成長を続けているし、ショックを経て、新たに成長する企業も出てくる」

外貨預金のところでは「ドル高が進むのは至極当然といえます。日本は現在、日銀による大規模な量的緩和を続行中ですが、アメリカの経済規模の1/4しかない日本がアメリカと同じだけおカネを刷っている以上、今後は長期的に見てもドル高円安傾向が続いてゆくでしょう」

そして最後に金。

資産防衛の観点から見れば「金も検討の余地がある」とは、ワールド・ゴールド・カウンシルの日韓地域代表を務めたことのある前出の豊島氏だ。

「金は欧州危機を機に1900ドルまで高騰した。いったん下落した後、最近になって1600ドルをつけるなど再び上昇してきています。」

「5年10年というスパンで考えれば、金はインフレ対策としても有効な資産防衛になるでしょう。」

などなど長々と語っているよ。

 

2020年