豊島逸夫の手帖

  1. TOP
  2. 豊島逸夫の手帖
  3. バックナンバー
  4. 経済再開へ、これからが正念場
Page3024

経済再開へ、これからが正念場

2020年5月22日

日本より一歩早く経済再開に動いている米国では、消費者が慎重で恐る恐る手探りの展開になっています。店へ急に客が戻るわけでもなく、案の定感染者は増えています。

おそらく日本もおっかなびっくりの再開になるのでしょう。

日本経済はかなり厳しい状況なので「縮小均衡路線」は覚悟せねばなりません。

とは言え、コロナ後の世界が未知の領域ゆえ、まだ実体像が描けません。新たな状況に順応するには2~3年かかると思います。試行錯誤の繰り返しに耐えつつ、自ら新たな展開を模索してゆくことになるでしょう。

マーケットでは経済再開期待で株価が反騰してきましたが、ここにきて息切れ気味です。

金国際価格も昨晩は突然1715ドルまで急落しました。

特に理由はありません。1700ドル台と言えば相当な高値圏ですから、利益確定売りが噴出しても当然だと思います。逆に1700ドルから一直線に1800ドルでは、そのあとの反動の下げも厳しくなるでしょう。売りの波を浴びて鍛えられ、上昇トレンドは堅固になるものです。

冷静に見れば、ここまで金価格が高くなれば、買い控え、売り戻しが出ても不思議はありません。

一方で金を取り巻く市場環境はコロナに加え、米大統領選挙、米中関係悪化と金買いを誘発する要因は次々に出て来ます。

昨日はトランプ大統領が激しい中国非難ツイートの3連発。

「中国は容易に疫病を回避できたはず。しかし何もせず、誤った情報を流布してバイデン民主党候補を勝たせ。米国から法外なカネを騙し取ろうとしている。」

一方、中国側は今日から全人代。その前夜、突然香港に対して「国家安全法」による介入強化に動いています。香港自治を力づくで抑えこむ姿勢です。

米国も中国も自国経済が厳しくなると、それぞれ「中国叩き」、「香港叩き」を国民の不満の捌け口にする目論見が透けます。

仮にコロナが終息しても、米中関係悪化は終息しそうにない状況です。

2020年