豊島逸夫の手帖

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円見切り売り、日本叩き

2020年2月21日


突然の円安は欧米市場でも注目される現象となっている。
10~12月期と1~3月期と2期連続でマイナス成長が続けば、日本は市場内で「景気後退入り」を宣告される。


これまで日本はジャパニフィケーション(Japanification)という用語で、低インフレから脱却できない国の代表格との刻印を押されてきた。
しかしマイナス6.3%という数字と新型肺炎の国内感染拡大懸念により「陽沈む国=サンセット」という有り難くないレッテルを貼られつつある。
「ここまで頑張ってきた日本経済だが、いよいよcapitulation=降伏の時期来る」という悲観論に接する機会が増えた。


東京オリンピックが開催されるのかとの議論が欧米市場でも交わされている。
FTとWSJがほぼ同時に「アベノミクス終焉懸念」を社説で論じるのも異例のことだ。
「円をもはや安全通貨と言うことは出来ない」との見方が急速に市場内で拡散中だ。


まさにこの2週間ほどの急展開だがヘッジファンドには円売りを仕掛ける絶好のタイミングと映る。
「日本売り」とも言えよう。
一時語られた「日本株を持たざるリスク」も今や「日本株を持つリスク」に変わった。
円については「市場センチメント」による円売りが続きそうだ。
ドル円市場の景色は激変した。


そしてNY金は1620ドル台まで続騰。モメンタムとしか言いようがない上げっぷり。
加えて円は112円前後。
円建て金価格は連日100円前後上がっている。
全てはコロナウイルス次第。


中国が企業向け貸し出し金利を4%に引き下げたが焼石に水。
そもそも豚肉野菜高騰で物価上昇率が5%を超えているので、そこに通貨供給を増やせばインフレになる。景気後退とインフレが同時に進行するスタグフレーションは全員負けのシナリオだ。


米大統領選挙は民主党候補として富豪のブルームバーグ氏が参戦。4兆円相当という巨額を投じての選挙戦を開始。他の民主党候補は「選挙はカネで買えない」と反発。何人もの候補者が足の引っ張り合いでトランプ大統領は「高みの見物」。


新型肺炎関連では国内感染拡大国との理由で日本への渡航制限がレベル1からレベル2へ引き上げのようなカタチで出始めた。日本円買いも「自粛」などあり得ないが敬遠されている感じ。友好国もなんとなく遠慮がちに距離を置く姿勢が感じられる。


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2020年