2020年7月14日
昨晩のNY市場では、ダウ平均が前日比500ドル以上急騰していたのですが、引け際にカリフォルニア州知事が経済閉鎖再開を宣言して、アッと言う間に前日比10ドル上げの水準まで急落しました。ここで金価格もスポットで1800ドルを割り込んでいます。
株と金の関係も今年は殆ど規則性がありません。金は金で独自の道を歩む展開です。
カリフォルニア州については、まず全州でレストラン、バー、映画館、博物館が再閉鎖。更に州の人口の8割を占める郡(特にホットスポットとされる地域)ではモール、ジム、美容院、宗教拝礼なども再閉鎖となります。同州は米国経済の15%を占める規模ゆえ、経済的かつ心理的影響が強く出ているのです。
次はフロリダ州、アリゾナ州、テキサス州が感染者急増で危うい状況にあります。米国感染症の第一人者ファウチ氏も経済再開が早すぎたと強い警鐘を発しています。しかしトランプ大統領は依然経済再開、更に学校再開も予定通り進める意向です。大統領選挙を控え、国民に対して「経済再開しても大丈夫!」と突っ張っているのです。支持率でバイデン民主党大統領候補に先行を許しているので、形振り構わぬ言動が目立ちます。ロシアの米大統領選挙介入に加担したとされ、連邦刑務所で40か月の刑を宣告されたロジャー・ストーン氏を無罪放免とした事も、先週来米国内で問題視されています。大統領が実刑判決受けた人物を「あいつはいい奴だ。」と言って裁判所の判断をひっくり返すとは日本では考えられないことですね。一方、ファウチ氏に対しては「無能」呼ばわりして批判を強めています。経済・学校再開の前提として厳しいルールを定めたCDCに対しても「規則縛りが強すぎる」と内容変更を迫っています。対外的には中国のみならず欧州にもデジタル課税を巡りイチャモンをつけ、追加関税という報復措置に言及しています。この調子だと日本にも火の粉が及ぶかもしれませんね。元側近ボルトン氏の暴露本には日米安保協定について、日本側に大きな負担を求めていることが書かれています。日本側の安倍首相もお尻に火がついてきたところで、ドナルドとシンゾーの友人関係の蜜月も危うくなってきました。
金市場は今後米大統領選挙、米中関係、そして経済封鎖再開などの動きに反応することになりそうです。
金価格は足元では利益確定売りが目立ちます。ゼロ或いはマイナス金利環境の中で、1400~1500ドルで金を買った人が1800ドルで売りたくなる気持ちは分かります。一方、金高騰に出遅れて買いそびれた人たちが、金価格が下がると買いに入る傾向も顕著です。1800ドル攻防の舞台裏では売り手と買い手のせめぎ合い(空中戦)が展開されているのです。ギリシャ危機の時には1800ドル台を駆け抜けて1900ドル台の史上最高値を達成しましたが、今回の1800ドル台はじっくり値を固めつつ、徐々に価格水準を切り上げる成り行きになってきました。やはり逆V字型ではなく、逆U字型の相場形成がイメージされます。
ところでトランプ大統領が初めてマスク着用で現れましたね。ちょっと異様な光景に見えました。思い起こせば日本は花粉症などでマスク着用が定着していましたが、欧米では「日本人のマスク姿」が異様な光景と見られてきました。特にテロリストが顔を覆うことが連想されたものです。ところが今や欧米ではマスク着用を義務化する動きが顕著です。コロナが民族の価値観をひっくり返す事例となっていますね。