豊島逸夫の手帖

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金1796ドルまで上昇後、反落

2020年625

「金7年8ヵ月ぶり高値 NY先物 経済不安で資金流入」
これ、今朝の日経朝刊商品面の見出し。
日経はNY先物で最も商いが多い限月(今の場合は8月もの)を指標としている。その指標価格が昨日日本時間夕方に1796ドルまで上昇した。私も相場モニター画面を見ていたが、1800ドル大台寸前で利益確定売りが出て大台達成にはならなかった。いずれにせよ1800ドルは時間の問題であろう。
「金は足元で上げ足を速めており、さらなる高値更新も視野に入る」とは同記事中の筆者コメントだが、今の上げを主導しているのは、CTA(コモディティー・トレーディング・アドバイザー)と呼ばれる超短期売買を繰り返すヘッジファンドだ。小刻みに売買注文を繰り出す。特に金について詳しいわけでもなく、知見を持たず、ひたすら値動きの良い商品に群がる。ここに今の相場の脆弱性がある。ひとたび流れが変わると見るや逃げ足は速い。1800を越せばボラティリティー(価格変動)は激しくなろう。バブルの様相は強まる。
但し、金の上げ材料は日替わりメニューの如く次から次へと出てくる。息の長いバブル。米大統領選挙までは続くであろう。少なくとも。

昨日はNY州クオモ知事が、第二波感染者急増中のフロリダ州などからの訪問者に14日間自己隔離待機を指示する動きとなった。そのフロリダ州はやっとマスク着用を指示するという段階。ロックダウン再発動はトランプ政権が強く否定するところだが「無い」と断定はできかねる。

アップルが国内の感染者激増州の閉鎖対象店舗を拡大したことも話題に。
更に、IMFが発表した経済レポートの中で2021年第三波のケースも想定されていたので、マーケットも第三波のリスクシナリオを検討する状況になった。万が一そうなると金価格の騰勢は2021年まで続くことは必至だ。現時点でメインシナリオではなく、あくまでリスクシナリオだが日本とて他人事ではない。もって銘すべし。

一方、トランプ大統領もコロナ対策で大失点。バイデン候補に支持率では大きく水をあけられ焦っている。そこで経済対策として欧州への追加関税を検討中と外電が報道している。満身創痍で、もはや形振り構わずという様子だ。中国叩きはそもそも民主党のお家芸なので標的を欧州にも向けた感がある。そうなると火の粉は日本に及ぶ可能性も。折から元側近ボルトン氏の暴露本で日本との防衛交渉の過程が生々しく描かれている。そもそも日米通商協議も第一段階合意後、これから第二段階という状況だ。一昨日トランプ政権ナバロ氏がFOXニュースに語ったことが日本人には響く。「中国がコロナの存在を知りつつ米中貿易協定第一段階に合意したことは、真珠湾攻撃数週間前に米国と平和条約締結に動いた日本政府の如し。」

さーて、ジメジメ梅雨時は鮨屋の貝類が旬で旨いね(写真は誠鮨@お茶の水)。生が勿論良いが軽く火を通すと甘みが増す。火を通し過ぎると固くなってしまう。程よい加減で焼くのが職人芸。こればかりはマニュアルでは教えることができない。イタリア料理店でもシェフが休みでセカンドシェフが担当の日には、ソースの味は変わらなくても熱の通し加減でその差が歴然としてしまうものだ。

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2020年