豊島逸夫の手帖

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米中関係激化

2020年7月15日

南シナ海情勢が俄かに緊張してきました。
米国が「中国の横暴な領土化は許容し難い」と真っ向から切り込んだのです。武漢でのコロナ勃発と香港危機を契機に米国政府の対中国政策は急速に先鋭化しています。しかも「中国叩き」に関しては民主党もバイデン候補も超党派で動いています。そもそも対中強硬論は民主党のお家芸ですしね。
南シナ海に関する妥協も香港自治許容も中国側は「絶対」譲れません。
大統領選挙まで相当激しい非難合戦が展開されるでしょう。

市場の反応は言葉での応酬に限定されれば大きな反応はないと思います。仮に「偶発的軍事衝突」あるいは「ニアミス」に限りなく近い状況が勃発すれば、さすがに「有事の金」が一時的に買われる局面もあるかもしれません。とは言えコロナで米中経済は傷み、ここは米中共倒れシナリオは避けたいところです。可能性として現実的に考えられるのは「経済制裁」でしょう。ビザ発給制限、海外口座凍結程度であればマーケットも反応しないと思います。しかし既に第一段階を合意した米中通商協定に関して反故にするとか、破棄するとか、あるいは決裂まで至らずとも白紙に戻して再交渉などに発展すると市場も無視できなくなるでしょう。
金価格に関して、1800ドル台の売りと買いの攻防では、この米中関係、そして米大統領選挙が材料視されることになりそうです。

それからコロナ情勢ですが、昨日のNY市場ではフロリダ州、カリフォルニア州の感染傾向に頭打ちの兆しが見られるとのことで、株式市場では買いの要因となりダウ平均が500ドル超急騰しました。まさにコロナに一喜一憂。その混乱に乗じて短期マネーが荒らし回るという状況です。金市場も例外ではありません。依然1800ドル台で売りと買いが交錯しています。

さて、日本のコロナ情勢もここにきて再発してきましたね。
東京と地方のやり取りも神経質になっています。

米国でもNY州知事とケンタッキー州知事の間で激しいやり取りがありました。
ケンタッキー州側がNY州でのコロナアウトブレイク(爆発)は知事の対応が後手に廻ったからだと非難。対してクオモNY州知事が激高して「我々NY州はケンタッキーなどの地方出身者の雇用も含め大きな経済圏を形成。巨額の地方交付金に寄与している。ケンタッキー州だけでは地方経済は破綻している。」と応酬。要はお互い様なのだけれど、コロナで極限に追い詰められると互譲、協力の精神より州のエゴの方が顕在化してしまうのですね。

2020年