豊島逸夫の手帖

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コロナウイルス長期化、金高騰長期化

2020年4月13日

コロナウイルスのマクロ経済への影響は4~6月期が最悪期で7~9月期以降に回復と見られていた。その回復シナリオが揺らいでいる。
欧米ではそろそろピークを迎え、封鎖解除のタイミングが議論される段階だ(日本は周回遅れ)。
ところがその解除のハードルが高い。

国民のウイルス検査で陰性が確認されてから封鎖解除というのは現実的ではない。抗体もその有効性は不明だ。更に米国のファウチ国立アレルギー感染所長は第二波の可能性も指摘する。既に中国、シンガポール、韓国などでは再発事例が見られる。これから気候が暖かくなればウイルスは死ぬという通説も、コロナは新型ゆえ確認する術がない。
個人消費にしても、暫時封鎖解除になってもおっかなびっくりで容易に回復しまい。
長期化必至の情勢だ。
特に日本が欧米からは危険視されている。移動規制も緩いし政府の決断も遅い。人工呼吸器がまさにこれから命綱ゆえ各国とも新規民間企業による増産を進めているが、日本は厚生労働省が新規参入に抵抗している。情けない。

一方、各国とも金融財政政策総動員で経済的損失を抑え込む姿勢だ。特にFRBはジャンク債やハイイールド債など所謂「ハイリターン・ハイリスク」の債券まで買い取ることを発表してマーケットは仰天した。
こうなると経済は停滞、マーケットは超緩和。
金が上がらないわけがない。
しかも為替がこれほどの惨状でも108円台。従来の市況の法則で言えば90円の円高になっても不思議ではない。円高神話は崩壊したと言えよう。
それゆえ円建て金価格は為替も上昇要因になっている。

まずは命と健康を守ることが必須。
次に金で財産を守ることも必須である。重ねて言うが、これは儲け話ではない。

なおマーケット情勢としては、OPECにロシアを加えたOPECプラスが970万バレルという記録的な減産で合意した。それでもコロナ禍による世界の原油需要減が2千万バレルとされるので需給は緩んでいる。今回はトランプ大統領も大票田テキサス州の基幹産業であるシェールオイルを守るために協調の姿勢を見せている。こうなるとOPECプラス&プラス。但しトランプ大統領のこと、これからの出方は未知数だ。原油先物価格は「噂で買ってニュースで売る」展開で20ドル台前半に留まる。下げにブレーキをかけた程度。

なおサウジの政府系ファンドが欧州のエネルギー関連企業とか、あのクルーズ船のカーニバルなど暴落した株を買いまくっている。所謂ディストレス投資。原油暴落で台所が厳しいので大胆な株買いに走っている。そこまでしなければならぬほどお尻に火がついているわけだ。

2020年