2020年9月1日
バフェット氏は一年前から日本商社株を買い始めていた。かつて訪日の際に、いわき市の企業を訪問したこともある日本に目が行き、日本国内では不人気の商社株のバリューがお目に留まったようだ。
そしてコロナ株暴落が勃発。同氏は安値を拾い損ねたので、今や高値圏になってしまった米国株を今更買えない。しかもこれまで米国株運用に偏っていたので、今や視点を海外に向けているようだ。日本商社株購入はその先駆けと言えよう。
コロナ危機では概ね「動かず」の姿勢を貫いてきたので、今回は久しぶりの本格投資案件である。それゆえ90歳誕生日記念行事の如く、昨日発表に至ったと思われる。
米国内ではコロナ禍で瀕死の米国航空会社を見切り売り、日本の企業に助勢したとの不満も見え隠れする。
それにしても「バフェット様お買い上げ」のお墨付き効果は凄いと実感している。
昨日は欧米時間に入るとこの話題が経済メディアでトップ扱いの報道となった。金価格が小動きなので貴金属を売買するトレーダーたちまでが商社株、日本株一般についての情報を求めてくる。日本の政権交代報道の時に比してもマーケットの反応が遥かに強い。
但し、NYの大手投資銀行の日本株デスクなど日本企業に詳しいスペシャリストの意見は割れている。日本株投資でなぜ商社株なのか。Eコマースの時代に総合商社は古いビジネスモデルで変動の激しい資源価格の影響を受けやすいなど辛口の評価も目立つ。
今回の動きは「投資会社」としてのバークシャー・ハサウェイ社が、「投資会社」の色彩を強める総合商社とのシナジー効果を期待した動きとの冷静な見方も根強い。
対照的に日本株の知見が薄い個人投資家のレベルでは、バフェット氏が買ったのであれば一口乗りたいとのフォロー派が少なくない。折から米国株式市場ではコロナ危機にあたりパパママ投資家たちの参入が話題になっている。彼らにとってバフェット氏はまさに「投資の神様」だ。
機関投資家の間ではバフェット氏の購入実績が明示されれば、社内或いは年金基金内でも正当化されやすく、買いの抵抗感も薄まるとの安堵の声も聞かれる。
総じてバフェット効果により、これまで「エキゾチック」というレッテルを貼られ、関心が薄かった日本株セクターが改めて見直されてきた。投資の神様の動きが日本株にとってゲームチェンジャーになる可能性を秘める。
なお、商社株を過去1年間に亘り「定期的に」買ってきたという事実は個人投資家にとって良い教訓となろう。投資の神様でも株購入は時間軸で分散する所謂「コツコツ」型の投資に徹しているのだ。
しかも超長期投資。コカ・コーラ株を32年、アメリカンエクスプレス株を29年、ムーディーズ株を20年、長期保有し続けている。見習うべき投資スタンスである。
最後にバフェット氏が日本でもどれだけ注目されているか体感した件。それは昨日のバフェット関連ツイートへのアクセスが60万を超えたこと。アイドルならいざ知らず、おっさんツイッターでは記録的数字だった(笑)。