豊島逸夫の手帖

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欧米は経済再開、日本は経済封鎖

2020年4月30日

昨日のNY市場は、コロナ治療薬として有望視されているレムデシビル(ギリアド社)の臨床試験が良好との報道と、FOMCが主要変動要因でした。

まずレムデシビルは先週、中国での臨床結果が失敗との報道で相場が大きく動きました。ところが昨日は「投与したところ回復が31%速い。死亡率も2%ほど低い。」との結果が発表され一転好材料となりました。今やアメリカのヒーローとさえ言われるファウチ国立アレルギー感染研究センター長も「これはゆける」とお墨付きを出しました。FDA(米国食品医薬品局)も最速で緊急認可に動く姿勢です。但し医療専門家からはまだ初期段階との意見が多く、株式市場が好材料を求めるあまりの先走りの様相も伺えます。

NY市場は今週、経済再開に動く州が増えて期待感が高まっているところに、このニュースが飛び込んだので、流れの中では効果的な材料になったわけです。

ダウは500超急騰。金は下落しましたが依然1700ドル攻防。

そしてFOMC。
こちらは既に未曽有の超金融緩和政策の豊富なメニューが発表されていましたので、昨日はその再確認。市場の視点では織り込み済みで特にサプライズはありませんでした。

実際のところ、この未曽有の有事対応超緩和パッケージについてはまだ殆ど実行されていません。それでもマーケットはその効果を先取りしています。パウエルFRB議長の発言だけで市場は十分なのです。FRBが語っただけでこれだけ市場が動くのですから、結局のところ「困った時のFRB頼み」という依存症から抜けきれないのですね。今回もFRBは市場の期待を裏切るどころか、予想以上の政策総動員で市場をアッと言わせました。これは基本的に金には強い追い風。年内は米国も再びゼロ金利ということですから。

さて、国際金スポット価格は1700ドル台という警戒水域に入った後は、さすがに入ったり来たりですね。今の市場はリスクに事欠きませんから、次の大きな新材料登場待ちという情勢です。

それにしても日本のコロナ対策は周回遅れで経済再開を語るにはまだ遠い。いかに自粛を貫くかとの段階ですね。魔法の杖はありませんから、ひたすら我慢の時です。私も珍しくしおらしく(笑)自粛しつつ、ネットで新たなプロジェクトの準備に入っています。

2020年