豊島逸夫の手帖

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バフェット効果、金2000ドル再接近

2020年8月18日

投資の神様バフェットさまが大手金鉱山会社バリック株を買った事実は金市場で「お墨付き」と解釈され、国際金価格(スポット)は1940ドルから一時は1991ドルまで急騰。その後1980ドル台で推移している。バリック株価も一日で11%急騰。

基礎的要因としてはドルインデックスが再び92ドル台まで下落していることが重要。一時93まで反騰していたが、やはりドル安に歯止めがかからなかった。その背景として米国債利回りが歴史的低水準で反騰局面でも大して上がらなかったことが指摘される。それほどに米国経済、米国社会、米国政治への不信感が根強いということだ。民主党大会がバーチャルで開催中だがバイデン氏は所得税、法人税、株の売買益に対する課税を強化する方針だ。依然1500万人以上の失業者を抱える経済に「増税」はさすがにきつかろう。対するトランプ氏はここぞとばかり株の売買益課税を「減税」すると切り返している。ウォール街では民主党支持者が多いのだが本音トランプ再選を望む人たちも増えてきた。支持率はバイデン氏が優勢だがその差は縮小してきた。選挙のことゆえ予断を許さない。そのような不透明感を市場は嫌い、米国の通貨=ドルが売られているわけだ。そこで無国籍通貨=金が買われる成り行きになっている。なお今回の13F(昨日の説明参照)で大手ヘッジファンドが続々金ETF買いに走ったことが検証された。彼らは決して金が好きで買っているわけではない。単に値動きの良さそうな投資物件を循環物色しているだけだ。ここは留意しておく必要がある。

現在の金市場は鉄火場だ。米大統領選挙とヘッジファンド決算が重なる11月に注意。推定1500ドル程度の価格水準で金鉱株を買ったバフェット氏がそこを持ち切るか否かも注目。バフェット氏の運用総額から見れば微々たるものでバタバタ動かないとは思う。今後メディアで質問を受けるだろうから、その時に彼の金鉱株購入に至る心境の変化をどのように語るか注目したい。

2020年