豊島逸夫の手帖

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国際金価格、1760ドルに急騰

2020年5月18日

週明け、いきなり国際金スポット価格が1760ドルまで急騰中です。日本時間月曜の午前中ゆえ、NY市場オープンには時間がありますから、まだ短期的にどちらに転ぶか分かりません。

要因はこれまでと変わりません。
コロナ関連では米国各州が相次いで経済部分再開に踏み切りましたが、その直後から軒並み感染者数が増えています。これは日本にとっても他人事ではありませんね。因みに米国のインディアン居住地域(アリゾナ州など)でクラスターが生じました。
そして米国小売り大手JCペニー破綻。ニーマンマーカスに次ぎ、小売業が力尽き破産に追い込まれてゆきます。「破綻しない資産」である金の買い要因になります。

デフレ基調も上げ材料です。金と言えばインフレに強い資産ですが、デフレでも企業破綻の連鎖が生じると金が買われる理由になります。ゴルディロックスと言われる熱過ぎでも寒過ぎでもない(インフレでもデフレでもない)状況だと金も出番はありません。ディスインフレ(緩やかな物価下落)でも企業破綻まで悪化しなければ金の出番無しです。

金融政策については、米国日曜の長寿報道番組CBS「60minutes」にパウエル議長が生出演。「ワクチンの開発なくしては経済悪化は長期化する。FRBも色々な策を講じる。」と発言。金市場はFRB追加緩和の可能性の方を重視しています。とは言え残る金融政策として、まずマイナス金利導入が考えられますが、これはFRBが否定しています。日欧で導入したが成果上がらずとの判断です。残るはイールドカーブコントロール(これは話が専門的になるから割愛)。そして量的緩和。これは既に「無期限でやる」意図を表明していますが、更に踏み込んで「月1000億ドル」とか量と期限を具体的に明示(フォワードガイダンス)する方法が考えられます。

そして米中半導体戦争。トランプ大統領はファーウェイへの半導体供給禁止を強化。台湾の半導体最大手TSMCを促し、米国内に半導体工場を設立することで、米国の半導体国内供給体制を敷く計画です。5月22日に全人代を控える中国は猛反発。中国国内の米国企業アップルなどを「不適切企業リスト」に載せ、規制強化の動きを示唆しています。

かくして金を買う材料は数多あるけれど、一方で金を売る材料は少ない。ドルインデックスが100の大台に乗っていて、世界的にはドル高基調ということぐらい。日本では円高と言われますが、NYで安全通貨はやはり米ドルとの意識が強いのです。

恐怖指数と言われるVIXは31。
一時より低下していますが30超は依然危機水準です。

ドル円の動きは狭いレンジに終始しているので、円建て金価格の変動も国際金価格を素直に映す地合いです。
私のアドレナリンも全開になってきました(笑)。
1700以上は金バブルですが、米大統領選挙までは続くバブルとの認識は変わらず。



2020年