豊島逸夫の手帖

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変異リスク、東京五輪に暗雲

2020年1228

感染度の高い変異ウイルスは「気が付いた時は、もう遅い」。
内外の感染症専門家から聞かれるコメントだ。

その変異リスクに東京オリンピック開催が揺れている。
これまでは、東京五輪は「どのような形にせよ」開催が強行されるとの見方が主流であった。しかし感染力の高い変異ウイルスの拡散は、来年ヒトとモノの流れが制限される期間が長期化するリスクを孕む。
このまま開催されれば「日本が断トツで金メダル獲得第一位」或いは実質的な「日中スポーツ大会」になりかねない。
この時期に全外国人の入国拒否という事態の出現はリスクシナリオにも全く想定されていなかった。

この新たな要因の出現で、筆者はマクロ経済のコロナ禍からの回復は2023年以降にずれこむ可能性が「更に」高まったと見ている。
これまでV字型、U字型、W字型、L字型、K字型と様々な回復軌道が議論されてきたが、2021年に関する限り、筆者は日本語のひらがなで「し」の字型を想定している。願わくば2022年にはカタカナの「レ」の字型まで回復を望む。とは言え2021年は「縮小均衡点」を模索する動きとなろう。非接触型経済への移行には時間を要する。労働の移動性など日本経済のダイナミズムが問われる。

なお、ウイルスリスクとして、今後はワクチンの「副作用」と「接種拒否」の潜在リスクも要経過観察だ。
これまでの2021年金価格予測には「変異ウイルス」の影響は全く織り込まれていなかった。
要注意点は、仮にワクチン接種期待が剥落すると更なる財政・金融追加支援策が必要になることだ。
積極的な量的緩和拡充、追加財政支援。市中にばら撒かれるマネーは更に増える。通貨価値の希薄は加速する。

それにしても日本の水際対策は甘い。筆者が「スイス・ドイツが南ア便停止。南アに変異種確認。東ケープ地区が発源地。」と@jefftoshimaでツイートしてから72時間以上経って、日本政府も入国禁止措置に動いた。この72時間の差は大きい。72時間前の日本メディアは「サクラ・ガーデン・パーティー」関連報道がトップニュースになっていた。国際感覚とのズレを痛感した。そして既に変異ウイルスは、すり抜けて日本国内でも実例が出始めた。国際線機長が検疫はフリーパスということも初耳だった。

そして筆者がよく乗る大江戸線も運転士15人クラスターで運行本数3割減。
それやこれやでスキー行きは自粛にした。残念無念!何せ、私の生き甲斐みたいなものだからね~~。

さて、土曜日の「日経プラス10サタデー」出演写真。2021年経済マーケット展望。

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円相場予測は基本的に2021年膠着。「円ではなくドルが安全通貨」の時代ゆえ、極端な円高は想定せず。日米金利差も急激に大きく開く要素が見当たらない。日本市場では相変わらず「円安全通貨神話」が見られるが、ドル円を実質的に動かすNY市場では「ドルがキング」。この温度差を指摘した。

いきなり冒頭のウイルス拡散の話題に時間かかり、押して残り時間が予定より大幅に少なくなり、マーケット関連の話は時間切れに。生番組では慣れていること。「最後10秒残しでお願いします。」とCM時間中に言われ、制限時間内に何とか話しをまとめる術だけは習得した感じ(笑)。
これはコロナ前に、関西(大阪)まで出張して朝日放送、エンタメ系報道番組に頻繁に出演していた頃、鍛えられたな。

2020年