豊島逸夫の手帖

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イラン報復、金は一時1600ドル突破

2020年1月8日


東京市場オープン時を狙った如きタイミングでイランのミサイル発射第一報が流れた。
結果的には米国・イラン両サイドから、戦争へのエスカレートは望まずとのニュアンスが強いツイートが流れ、市場は暫時「水入り」の様相である。


まず、イラン側はシーア派過激分子を使わず、イラン領土内から直接ミサイルを発射したことで「報復」の大義は果たせた。更に弾道ミサイルを使用したことで一定の軍事力は誇示できた。標的となった基地内の米国人居住地という急所は外すまでの能力については不明である。イラン外相のツイートでは「エスカレートは望まず」との意向が明確に示されている。ボールを米国サイドに投げたかたちだ。


一方、トランプ大統領の関心はもっぱら「大統領選挙」にある。既に「イラン司令官攻撃判断は拙速」との謗りも強い。トランプツイートも「被害調査中。現時点で問題なし」とのニュアンスで意外なほどの抑えた表現となっている。出来ればこの程度で矛先を収め、報復合戦は回避したい本音が透ける。


市場の反応もパニックにはならず、冷静に今後の動向をも極める姿勢が目立つ。しかし、既にポジションのリスク度は抑えているので慌てた巻き戻しなどは見られない。日本時間に流動性がある円が投機筋には狙われやすいのだが、特に投機的円買いは起きていない。有事の金も買われ1600ドルも一時突破した。とは言え基本的に想定内ゆえ「噂で買ってニュースで売る」動きも目立つ。その後反落して1590ドル台で推移している。今後本当に戦争にエスカレートすれば更に上値を追う可能性があるが、基本的にはレンジ上限に近い水準である。NY金市場では金がこれまでになく注目されており金市場への新規参入が目立つ。市場の厚みが増すことで価格水準も切り上がってゆきそうだ。

2020年