豊島逸夫の手帖

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NY金、100ドルを超す連騰、円建ても高い

2020年3月25日

NY金が1630ドル台まで昨日も急騰。
これで二日で1480ドル圏から1630ドル圏まで暴騰したことになる。昨日の瞬間高値は1680ドル台まであった。眠い目をこすりつつ見間違いかと思ったほど。

昨日の材料は総額2兆から2.5兆ドルとなる超大型財政支援策が、やっとネジレ議会で共和党・民主党が歩み寄り、超党派で合意に近づいたこと。
英国のGDPにも等しいほどの規模でバラマキやって財源はどうするのか。増税で選挙は勝てないから、結局国債乱発。行き着く先はインフレ。今や死語になったインフレ懸念が水平線上に浮かび始めた。
しかも金融政策も無制限量的緩和全開モードだ。
株も金も同時に上がるという既視感ある地合いになっている。

金に関しては、これほどのスピードで上がってしまうとバブルっぽくなるので、出来ればもう少しおとなしく上がって欲しいところだが、まぁそういうわけにもゆくまい。相場に火がつくと、行けるところまで、上げられるところまで試そうとのムードになる。ここは冷静に。

いずれにせよ1480~1680はまだ想定内。1700を超えると警戒モード。すなわち上げられるところまで上値を試すが、あとはどすんと暴落という逆V字型相場展開になりがちだ。
特に1700ドルを超すとリサイクルは級数的に増え、中国インド、ドバイの現物買いは干上がる。ムンバイ現地金価格はロンドン世界標準価格に比し、1トロイオンス=30ドル以上ディスカウント(割安)になってきた。金製品が高値で売れず、リサイクルは増え供給はジャブジャブの過剰なのだ。特にインドルピー安でルピー建て金価格には為替要因で更に上昇圧力がかかっている。

それでも欧米市場では先物主導で上がっているという価格形成になっている。米大統領選挙までは金バブルの宴が続くが、そのあとの二日酔いも激しそう。

なお、円相場が111円台で円安に振れているので国内金価格も200円以上急騰。為替は円安全通貨神話が崩れ、ドル、ドル、ドル、ドルが王様。有事のドルという市場の雰囲気。ドル高=円安という流れだ。

 

2020年