2020年4月1日
NY市場では31日に「金」の換金売り第二波が生じた。突然金価格が1610ドル台から1580ドル台まで急落したのだ。市場ではまだ資金需給がひっ迫して、株二番底への備えを象徴する動きと不安視されている。
この背景は根が深い。
今や米国人口の約8割が自宅待機状態に置かれている。
世論調査ではロックダウン支持が目立ってきた。
株価も国民が本当にこの厳しい規律を順守できるか次第の様相だ。
一部の国民がいたたまれず外出すれば「千丈の堤も蟻の一穴より崩れる」可能性がある。ニューヨーク州とニュージャージー州の「感染爆発」がニューオーリンズなど他の大都市に波及の兆しが既に顕在化している。
一方、ワシントン州とカリフォルニア州は早期ロックダウンに動いたのでオーバーシュート現象は回避できた。
1日朝に開催されたコロナ関連トランプ定例記者会見では、医療専門家による各都市の感染拡大比較グラフの詳細な説明があった。
特にファウチ米国国立アレルギー感染症研究センター長(79歳)は今や国民的人気者でドーナツやソックスなどの「ファウチグッズ」が販売されるほど。壇上でトランプ大統領に遠慮せず本音を語り、トランプ氏も一目置いているからだ。
そのファウチ氏がコロナ死者数予測グラフでベストシナリオは死者10~20万人。放置すれば200万人前後との予測を肯定した。トランプ大統領も「今後2週間はとてもとても辛い。」と述べた。
その結果、記者会見中にダウ時間外は約400ドル急落している。
トランプ氏は更に一般人は不足状態のマスクを医療関係者に譲るべきとも語った。
デトロイトでは約500人の警官が感染している。
人工呼吸器も連邦政府が1万台を備蓄して、今後緊急事態の州に迅速に発送できる態勢にある。
この人工呼吸器は各州が争奪合戦を繰り広げている。
日本時間1日早朝もクオモNY知事定例記者会見では「各州が中国製人工呼吸器に買い注文を入れ、さながらオークションの如く値が釣り上がっている。」と憤りの発言もあった。本来ならFEMA(米国連邦緊急事態管理庁)がまとめ役に廻るべきとも批判した。
このような米国の惨状は日本にとってももはや他人事ではない。
米国に比し周回遅れでロックダウンを織り込んでゆくことになりそうだ。
なお、ゴールドマンサックスは4~6月期の米国GDP予測をマイナス24%からマイナス34%!に下方修正。但し7~9月期はプラス19%の反動を見込む。失業率は3%台という歴史的低水準から一気に15%への急増を見込んでいる。
覚悟していたとは言えロックダウンの経済的影響は想像を絶する。
日本も例外ではなかろう。