豊島逸夫の手帖

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金急反騰、1800ドル回復

2020年12月2日

金価格が30ドル以上急反騰して1800ドル台を回復した。

ドルインデックスが91の大台を割り込む寸前まで続落。一時は100を超していたから、かなりのドル安だ。金買いの材料にはなる。

昨日の買いは3種類。
1)出遅れ組の新規買い
2)既に利益確定売りを済ませた投資家の再参入
3)空売りの買い戻し

3番目の理由が短期的には大きい。金が心理的抵抗線である1800ドルを割り込んだところで空売りをかけたが、そこでドルが急落した。年末クリスマス休暇も近く、早めに手仕舞う動きになりやすい。

但し、ワクチンがいよいよ認可・流通・接種されるという、「期待」から「現実」の段階になり、株式市場では好感されている。金にとっては基本的に下げ材料だ。依然短期的な売り圧力は強い。ドル安とワクチン開発のせめぎ合いの様相だ。虫の目で見る短期動向は要経過観察である。

さて、日本国内もコロナ一色。再び「巣篭り現象」が目立つ。自宅待機で投資を勉強する人も増えている。マネー誌も売れているそうだ。

初心者にはいきなり熱い風呂に飛び込むのではなく、かけ湯程度から始めよと説いている。一方理屈ばかり勉強して頭でっかち気味の人にはかけ湯程度で試し買いしてみよと説いている。多少なりとも身銭を切って買ったものの値段が、翌日下がった時の不安感も味わっておく必要がある。これがリスク耐性というものだ。投資とはリスクを取るもの。日本人が一番苦手な部分だが今や元本保証の「安全資産」なき時代ゆえ、避けては通れない。

なお、我々の公的年金を運用するGPIFが7~9月期に、日本株を5000億円ほど売却していたことが明らかになり話題になっている。公的年金は25%を日本株で運用する建前なのだが、株高で25%を超えてしまったので、運用配分比率を守るため手持ちの日本株を減らしたわけだ。専門用語でリバランスというが金も今年の急激な価格上昇でリバランスの売りが見られる。

2020年