2020年7月13日
米バイオ医薬品メーカー、ギリアド・サイエンシズは新型コロナウイルス治療薬レムデシビルの臨床試験結果を発表。レムデシビル投与の患者は14日以内に死亡する確率が62%低かったとしています。但し専門家の間では、この臨床試験は未だ緩い条件なので太鼓判は押せないとの意見も少なからず出ています。筆者は専門的知見を持たないので判断できかねます。ただ治療薬、そして何と言ってもワクチン開発に関する情報にマーケットが一喜一憂していることは確かです。
このレムデシビルについての臨床結果も株価を引き上げる材料になりました。対して金には売り材料となります。
国際金価格は1800ドルという歴史的高値圏で揉み合いが続いています。思えば随分と高い水準での攻防となったものです。
日経新聞もこの高値圏で日本でも金を買う投資家が増えていることを伝えています。更にプラチナに相対的な値ごろ感が生じて、買いに入る人たちが絶えないことも報道しています。
ひとつだけ気になる点を指摘しておきます。
日本の貴金属店店頭で顧客が発する質問の中で目立つのは「金・プラチナが上がったか、下がったか」より「今日は買う顧客が多いか、売る顧客が多いか」ということです。これは危うい。友人・同僚が金・プラチナを買っていれば安心感が生じ、更に自分だけ出遅れているのかとの疑念が生じ、焦りから「買い」を決断する。これは自分で決められない投資家の典型的なパターンです。しかし投資の決断はあくまで自己責任。リスクを取る覚悟が必要です。しかし世の中にはリスクを取れない人たちが多いことも確かです。あれこれ考え抜いた挙句、結局何も行動できなければ無理して投資しない方が良いと私は思います。
なお、現状ではプラチナ価格が金の半値以下。それゆえ金を買う人とプラチナを買う人の心理は異なります。
金を高値圏でも買う人はやはり将来に不安を感じています。一方プラチナを買う人はとにかく価格が安いという動機で動いています。
とは言え、希少な実物資産を購入するという点では共通項があります。
勿論単純に一般化は出来ませんが、概ねこの程度の違いが見られるという程度に理解してください。
なお、外貨準備として金が保有されますが、プラチナを外貨準備で保有する国はありません。コモディティー(商品)とマネー(通貨)としての二面性を持つ金と、産業用素材のプラチナが決定的に異なる点とも言えるでしょう。なお筆者はプラチナ記事の中で、プラチナ価格が下げ過ぎと述べています。いくらなんでも金の半値以下は売られ過ぎであろうとの相場観です。