豊島逸夫の手帖

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金、1860ドル台まで回復、その背景は

2020年12月8日

国際金スポット価格が1860ドル台まで反騰してきた。

今回の背景はコロナ感染深刻化に尽きる。

カリフォルニア州などで地域的ロックダウン。特に効いたのが、ホワイトハウスのコロナ対策チーム記者会見で一番バッターとして現状報告するバークス調整官(女性)が、NBCの最長寿報道番組で「コロナは米国にとって最悪の危機」と語ったこと。お茶の間でファウチ氏の次に「コロナ対策の顔」と認知されている専門家だけに影響は大きかった。感謝祭連休、そしてクリスマス休暇と米国は人の移動が多くなる季節で、日本と異なり自粛しない人が非常に多い。感染者も死亡者も桁違いだ。トランプ大統領がジョージア州上院決選投票控え、現地で大規模集会に参加したが、相変わらず皆マスクをしていない。

病院ひっ迫も酷い。

(日本でもこの問題は深刻。余談だが私が言いたいのは飲食店への休業補償に加えて、看護師さんなど医療関係者たちへの支援金も用意しろということ。先が見えない日々で感染リスクに晒され疲れ切っている上に賞与カットとか酷すぎる。篤志家の寄付だけでなく、制度的にキッチリ金銭的報酬を支払うべきだと考える。余談終わり)

このような状況で米国では政治空白が生じており、財政支援がなかなか妥結しない。そこでFRB金融政策の重要度が増して、追加緩和として量的緩和拡充の確率が高まってきたことが、金買いの背景にある。FRBに残された追加緩和手段は限られており、量的緩和拡充は切り札ゆえ小出しとなろう。まず長期債購入割合を増やす所謂ツイストオペ。次に期間を長く設定する。最後に国債購入量を増やす。おそらく次回のFOMCでは議題となり、これは金買い要因となろう。そこまで徐々に織り込んで金価格反発となっている。

次回の雇用統計は現在進行中のコロナ深刻化を映し、かなり悪化しよう。そこでパウエルFRB議長が手をこまねいているだけでは許されまい。既に前回FOMC議事録にも量的緩和の件は検討中と示唆されているところだ。

なお、ワクチン接種で問題化しているのは、調査によっては接種拒否者が40%以上を占めること。やはり長期的副作用警戒。ワクチン国民接種への道も厳しい。私は問題なく接種を受けるけどね。

それから昨日言及した国防長官人事だけど、予想通り初の黒人国防長官オースティン氏となりそう。これも凄い変化。

さて、死んじゃった猫の埋葬を済ませて、心の中にポッカリと穴が空いた感覚。通夜は近くのローソンで買ったスイーツを食べながら、しんみり。ペットは家族の一員だからね。各方面から励ましメールいただき、改めてブログ読者層の裾野拡大を体感(機関投資家セミナー参加者の方までも)。ありがとうございました。

2020年