豊島逸夫の手帖

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大統領選、9回裏バイデン逆転サヨナラのチャンス

2020年11月6日

日本時間6日金曜日の日中、世界の市場の目は米国ペンシルベニア州に釘付けになった。

同州の大統領選挙人は20人。バイデン候補がここを取れば270人に達し当選となる。しかし開票は終始トランプ氏がリード。ところが都市部と郵便票の開票が進むや、その差が30万票から徐々に縮小。6日朝になり、10万から7.5万、4.8万とみるみる縮まった(6日午前11時執筆時点)。野球に例えれば、9回裏、無死1、2塁で逆転サヨナラ勝ちも見込める局面だ。

たまらずトランプ氏は日本時間朝8時半に緊急記者会見を招集。「ジョージア州やペンシルベニア州では大差で勝っていたはずなのに、急に接戦になり、ダウン(下げ)となったのは納得できない。不正投票のせいだ。」と吠えた。側近が止めるのを制して登壇したとの報道もあり、珍しく下向きで原稿を読んでいた。共和党内部からも「ついて行けない」と批判の声が上がるほどの「殿、ご乱心」状態だ。同州知事は共和党でもある。因みにもうひとつ残る激戦州アリゾナではバイデン氏リードだがトランプ氏が猛追している。記者会見でアリゾナ州に関しては「お構いなし」の扱いであった。

そもそも選挙戦最終盤にトランプ氏は激戦州を精力的に廻り、支持者たちを「当日投票」に駆り出した。対して民主党側は感染予防のため「郵便投票」を呼びかけた。その郵便票からフロリダ、オハイオ州は開票作業を開始したので結果的に当日投票分は後回しになり、開票後半にトランプ票増加が加速した。逆にジョージア州やペンシルベニア州は郵便票開票を後回しにしたので開票後半に民主党票が伸びる結果になった。

トランプ氏は法廷で徹底抗戦の構えだが市場の反応は限定的だ。紆余曲折はあってもいずれ決着と読んでいる。NY市場では青い波も赤い波も起きず、ネジレ議会を歓迎する紫(パープル)の波と新名称が流れ始めた。

最近の傾向だが株高になると金高になりやすい。金は1940~50ドルの水準まで久しぶりの50ドル幅急騰だ。このまま上げ続けるほどのモメンタムはないが、方向性として大統領選後は上値を試す展開だ。

但し、NY市場で低リスク通貨と認識されているドルが売られ、円高が103円台まで進行しているので、円建て金価格の上げ幅はやや相殺されている。

2020年