豊島逸夫の手帖

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日本は、やはり肩書社会

2020年9月18日

私事ですが、早いもので独立してから10年近くになりました。
組織の束縛から解放されて自由に働けることがこんなに楽しいとは。はっきり言ってもっと早く辞めればよかったと思うくらいです(笑)。仕事の幅も広がりましたし本音で語るのが当たり前になりました。ただひとつ厄介なのが肩書。私は肩書なしで豊島逸夫という個人の立場でどこまで仕事ができるか挑戦している気持ちなので肩書などに全くこだわりがありません。しかしメディアに出ると「必ず」肩書が要求されます。それが豊島逸夫事務所豊島逸夫ではダメなのです。「座りが悪い」そうです。そこで日経ではマーケットアナリストという意味不明(笑)の肩書が付きました。他には経済アナリスト、エコノミストなど様々。テレビの地上波だと「国際金融に詳しい豊島氏」、「中国経済に詳しい豊島氏」など出演する度にカメレオンみたいに肩書が変わります(笑)。これが米国だとindependent investment advisorなど、独立系であることが明示されるだけで事足ります。独立系の方が色が付いていないという理由で歓迎されます。やはり日本は肩書社会ということを実感します。もちろん欧米でも肩書にこだわる人が多いですけれど。特に組織内では。でも例えば「エグゼキュティブ」アナリストとまでなると、そこまでこだわるのかと苦笑してしまいますね。

テレビの生出演でスタジオに入った時、それまで生出演していた証券会社のアナリスト氏とすれ違い目が合ったので、自然に笑顔で「こんにちは」と挨拶したのですが、完全に無視して通り過ぎて行ったという事がありました。その人、テレビでは常に笑顔満面でやさしいイメージなのですが。肩書のない人間と一緒にされたくないという感じが伝わってきましたよ。日本で独立系でやっているとこういう場面によく遭遇するのです。

さて、今日発売の週刊フライデー58~59ページに『20年で約7倍!超初心者のための「金投資」マニュアル 手堅い投資先として大注目』が載っています。女性の写真だらけの雑誌でうっかりお茶の間で読むのも憚られるのですが、この金特集はよくまとまっています。今週は週刊エコノミスト、週刊新潮、産経新聞と一般メディアの金特集が相次ぎました。プロ的発想だと、これほど一般の話題になると一相場終わりと言いたいところですが、今回ばかりは複合要因で上がっているので息が長い相場になりそうです。ただ足元でやや円高に振れているので、円建て金価格は上がりにくい構造になっていますね。そもそも本欄ではコロナという未曽有の危機ゆえ90円台の円高になっても不思議はないのに106~109円とかの「円安」だから円建て金価格も40年ぶりの高値になると書いてきました。それがさすがに修正されつつあるようです。とは言えNY市場では円よりドルが安全通貨として認識され買われがちなので、ドル高要因も根強く極端な円高にはなりにくい構造と言えましょう。私自身が根っからの円安論者であることは変わりません。

最後に相撲見物に行ってきました。マス席独り占めできるのでゆったり楽しめましたよ。私は関係ないですがアルコールは禁止。マスク必須。静かな館内に力士がぶつかる音が響き迫力がありました。

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なお、週刊エコノミスト誌に寄稿した下記原稿は「金の地政学 ロシアが公的購入を突如停止 米ドル依存脱却で中国と協調」について書きました。

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20200922/se1/00m/020/023000c#cxrecs_s

2020年