豊島逸夫の手帖

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バイデン優勢、議会はネジレ、市場は混とん

2020年11月5日

ウィスコンシンとミシガンに相次いでバイデン当確が打たれ、現在バイデンリード中のアリゾナとネバダで逃げ切れば、バイデン当選の道筋が見えてきた。ペンシルベニアで負けても勝算が見込めるのでバイデン氏は勝利を楽観する演説。対するトランプ氏は猛反発。ウィスコンシンの再集計、ミシガンの開票停止を要求して最高裁での法廷闘争に持ち込む構えだ。このまますんなり選挙結果が確定するとは到底思えない。最終結果は来週に持ち越される可能性もある。

このような選挙情勢の中で、株式市場は先走り気味にバイデン勝利とネジレ議会継続のシナリオを好感している。バイデン氏の大型リフレ政策と上院共和党のバイデン増税反対が期待できるからだ。いいとこ取りと言える。バイデンリフレに上院共和党が待ったをかける可能性もあろう。

金市場は方向感を掴めず1900ドル前後で様子見の姿勢だ。膠着と言うか「安定」と言うか。

債券市場では法廷闘争長期化リスクを懸念して米10年債利回りは0.7%台後半に下落している。選挙前はブルーウェーブを見込み0.9%台まで上昇していた。

このような市場環境で長期投資家はバイデン氏でもトランプ氏でもリフレ政策は期待できるのでジワリと株買いに傾いている。2021年のインフラ投資は民主党の方が大型になるが共和党も考慮すると見られる。投資家の警戒感を示すVIX指数も一時は危機水準の40を突破していたが今や29まで下落した。

情勢の急変に振り回されているのがヘッジファンドだ。
トランプ優勢が伝えられた時にはバイデンリフレトレードの巻き戻しに動いた。ところがバイデン優勢となるや同トレードの再稼働が視野に入る状況だ。

日本への影響としては円高が気になるが、大統領選長期化リスクがつきまとうので、NY外為市場では「低リスク通貨」と見做される米ドルが買われる傾向も無視できない。バイデンリフレが顕在化すれば米10年債利回りも再上昇するのでドル買い圧力が強まる。当面は円高トレンドにもブレーキがかかりやすい市場環境である。

ドルも決定的方向性を欠くのでドルに反応する金も動意薄。
とは言え、今日はFOMC、明日は雇用統計と重要イベントが控える。

市場エネルギーがマグマの如く溜まっているので噴出し始めると「大噴火」となりかねない可能性を秘める。

筆者は米大統領選がこのザマだと、基軸通貨=米ドルへの信認が薄れるのではないかと見ている。接戦のジョージア州では水道管破裂事故で10万人以上の郵便投票開票が大幅に遅れた。最大の先進国の大統領選挙とは思えない。お粗末!こんな選挙で選ばれた米大統領の権威も薄れるだろう。

今日の写真は秋だね~~ポルチーニ茸@マガーリ、自由が丘。
こんな状況でもマダムとシェフは元気に頑張っているよ。

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2020年