豊島逸夫の手帖

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金のリサイクル増加

2020年11月20日

金が歴史的高値圏にある今年は、金の「売り戻し」や「リサイクル」が急増するとセミナーでも語ってきましたが、昨日の日経商品面で「金リサイクル31%増 世界7~9月 高値圏で個人が売却 相場の上値抑制も」と題して良くまとまった記事が載っていました。

リサイクルは二次的供給源と言われますが、一次的供給源の鉱山生産量が頭打ちゆえ、今後は二次的供給源の動向が重要になります。
過去のデータを検証しても、金価格が1000~1200ドルまで下げた後はリサイクル量が急減して年間1200トン程度。逆に1500ドルなど高値に急騰した後は1700トン前後に急増。この500トンの差は大きいですよ。日々の相場では目立たず材料視されませんがジワリと需給要因として効きます。足元でも金価格軟調の最大要因かと思っています。昨日の記事は7~9月期でしたが、10~12月期には更に急増しているでしょう。個人の売りは価格が下がり始めた時にドサッと出る傾向があるからです。心理として急騰している時はどこまで上がるか期待して見守り、ピークをつけたかどうかというタイミングで売り始めるものです。なお今年前半はロックダウンでサプライチェーンも破断され、金を売るにも売れない状況でした。それゆえ2020年通年では未だ増えていないと予測します。

専ら中国・インド・中東(ドバイ市場)がリサイクル中継基地になっており、先進国でも金買い取りのインフラが構築されたことも重要です。

リサイクルの変動要因は価格効果と所得効果があります。
高値に誘われた売りが価格効果、懐が寂しくなると金を売って凌ぐというのが所得効果です。
現在は金市場が2000ドル突破ではしゃぎ過ぎた後の「二日酔い」状態にあるので、熱気が冷め、売りが出やすい時期です。
とは言え、安値圏では出遅れ組の買い、売って儲けた人の再参入(買い直し)も待っています。

短期価格形成は株価やドルの影響を強く受けますが、中長期的には需給要因がボディーブローの如く効くことに留意しましょう。

さて、日本もコロナ感染が深刻になってきました。私も仕事の上では欧米の状況を見ているので日本の感染者数は桁違いに少ないと感じますが、一個人に戻るとやっぱり気持ち悪いですよね~。寒くなり山手線内でも咳き込む人が増えて用心してしまいます。逆に私が埃でクシャミする時も気を遣いますね。忘年会自粛とか言っていますが当たり前でしょう。こんな時期に夜の繁華街を徘徊する気持ちが分かりません。私の趣味の「旨いもの探し」も当面中断ですよ。幸い配偶者が料理の達人なので内食でも十分ですが(笑)。

2020年