豊島逸夫の手帖

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金、再暴落

2020年8月20日

2000ドル再突破後、昨日のNY市場で金は激しく売られ1920ドル台まで暴落中です。
まさに「鉄火場相場」。

NY時間に第一波、第二波の売りがありました。
どちらも直接的な理由はドル反騰です。ドルが売られ過ぎの修正局面。ユーロが買われ過ぎの反動でもあります。ドル高で金は下落という展開です。
第二波の誘因はFOMC議事録の発表。FRBのコロナ経済に関する厳しい見方が記されていたのですが、追加緩和に関しては有力な政策手段が見られず失望感を誘発しました。FRBはマイナス金利を容認しないので残る金融政策は小粒で限界がありますね。第一波に関しては金市場内部要因が挙げられます。

13Fにより4~6月に多くのヘッジファンドが金ETF購入に走ったことが検証されていますが、その購入価格は1700ドル前後と推定されます。そうなると2000ドルで売れれば御の字ということになります。できれば2000ドル以上で売りたいのでしょうが待てない短期ヘッジファンドも多いわけです。ドカ雪の如く積み上がったドル売りポジションと金買いポジションが表層雪崩を引き起こしたと言えます。

改めて鉄火場相場で2000ドルの壁は厚いですね。
2000ドル以上、更に上昇を続けるには、更なる追加緩和が必要だが金融政策はほぼ尽きて財政政策頼みという情勢です。
本欄で筆者が想定する相場の形を逆U字型、或いは逆W字型と書いてきましたが、逆Uの字の高原状態に入ったということでしょう。
中期的に見れば米大統領選挙までは高原状態が続くと思いますが、いずれヘッジファンドが決算期対策として保有の金ETFの本格売り処分に走ると高原状態も終わるでしょう。なお2021年は次期米大統領次第ですが新たな上昇相場となると予測しています。
年内は鉄火場で警戒モード。来年は強気です。

なお、当面高原状態が続くと見るのは、秋口にかけて世界的にコロナ感染悪化が続く可能性が高くなってきたことも重要です。個人的にはそんな理由で金が高くても嬉しくありませんが。

足元では米国内で感染拡散は収まりつつあります。とは言えクオモNY州知事は秋にはレストラン再閉鎖もあり得ると発言して、ニューヨーカーは「マジ!?」と衝撃を受けています。

2020年