2020年9月14日
日本が政権交代期を迎える直前にバフェット氏は日本商社株を大量に買った。そこで米国の週刊投資媒体「バロンズ」紙は、「日本株の将来」を好意的に報道している。とは言え多くの外国人投資家たちの日本を見る目は容易に変わらない。「デフレが染みついた国」という有り難くないレッテルを貼られたままだ。円建て金価格がドル建て金価格と同時に急騰したことも示唆的だ。今回は円高(円買い)要因が働かず、国際金価格がそのまま国内金価格に反映されている。日本の通貨=円への信認が薄れているとも解釈できる。
そもそも「金」は基本的に守りの資産であり、積極的に売買益などのリターンを取りに行く「攻めの資産」ではない。日本人の多くが金買いに走ったら日本の経済成長は覚束ない。金市場に流入したマネーは金現物として退蔵され、成長分野への投資に回ることはないからだ。
攻めの資産と守りの資産の配分をあれこれ考えることが投資の基本とも言えよう。
さて、日本の次期政権は「アベノミクス」という色褪せた経済戦略を引き継ぐことになる。金市場の視点ではアベノミクスの出口がどうなるか、気になるポイントだ。量的緩和でばら撒かれた巨額のマネー、更に日銀により買われた大量の日本株。この後処理は次の政権、或いは次の次の政権に先送りされる。これからの新首相の誰かが貧乏くじを引くことだけは間違いなかろう。放置すればするだけ出口の痛みは激しくなるだけだ。次期日銀総裁も同じく貧乏くじを引く宿命になりそうだ。マネーをばら撒くのは容易だが、回収するのは容易ではない。
言わば、新型コロナウイルス後処理班となる今後の日本の首相の手腕を外国人投資家は冷静に見守っている。そして政治手腕の影響を直接的に受けるのは日本人である。都合よい逃げ道は無い。