豊島逸夫の手帖

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パウエル講演と米中関係で一波乱

2020年5月14日

昨晩はパウエルFRB議長の講演で市場が揺れた。

市場はいよいよ経済再開に動き始めていた。しかし、いざ経済再開となると「ホントに再開して大丈夫かな、第二波も怖いし。」との不安が頭を擡げるものだ。

そのような微妙な状況でパウエル議長が「今後の経済下振れは極めて厳しい。コロナ禍は長期化の可能性がある。更なる緩和が必要かも。」と語ったのでマーケットはビビった。

これまでは「緩和期待」で株が買われてきたのに、昨晩は経済下振れの方が意識された。ダウは500超急落した。

雇用統計の歴史的悪化でも株が買われたが、今は冷静になり考え直している感じだ。

対して金はパウエル講演後に上昇。1710ドル台で推移している。

更に米中関係悪化も金買い要因となった。

米国が「中国は抗コロナウイルスのワクチン開発に関する情報をハッキングしている。」と非難。更に米国年金基金が中国株に投資することを控えるように指示した。明らかに大統領選挙向けの中国叩きだ。しかし本気で叩く気はない。米国経済も苦しい。中国と貿易戦争をやっている余裕はない。

中国とて5月22日には延期されていた全人代が開催され、コロナ対策としての大型経済支援が決定される見込みだ。そのような大事な局面に米国といざこざを続ける余裕はない。

米中両サイドからの非難合戦は、語気は荒いがプロレスのようなもので本気で戦う気はない。

それでも激しい論調が見出しとなり、マーケットで独り歩きしてアルゴリズム売買を誘発する。

米中より今後は米国大統領選挙の趨勢に注目すべきだろう。

2020年