豊島逸夫の手帖

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どうなるコロナ

2020年4月15日

私も御多分に漏れず在宅勤務の日々。
今、最も濃厚接触の相手は猫ちゃんかな。猫は大喜びではしゃいでいる。キーボードを叩いていると必ず邪魔に入ってくる。「相場なんかどうでもいいから、遊ぼうよ」そこに超真面目な世界経済についての電話取材が入る。偉そうに「えーー混迷を極める世界経済は。」と切り出したところで「にゃぁーー」と合の手。権威もなにもあったもんじゃない(笑)。

さて、金国際スポット価格は1703ドルから1749ドルまで急騰して1720ドル台で推移。
NY株もダウ558ドル高。円は107円台。
株も買うがヘッジとして金も買うという投資家心理。
株式市場の楽観の背景には、NY州の新規入院者数が激減していることなどピークアウトの兆し。そしてFRBと米財務省のコラボで財政金融政策総動員。

しかしクオモNY知事も「気を緩めたら、元の木阿弥」と警鐘を鳴らす。市場が先走り気味だ。経済再開はおっかなびっくりの展開になる。10~12月期までずれ込むだろう。私に一番響いた要人発言は、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁の「経済閉鎖、再開が18か月間繰り返される。」という発言。最も現実的だと感じる。これはそっくり日本にも当てはまることだ。日本はコロナの入り口。欧米は出口模索。今回は入り口より出口の方が難しいことは間違いない。

米大統領選挙もいよいよヒートアップ。民主党はバイデン氏の下にサンダース氏もオバマ氏も集結して挙党体制。トランプ氏には焦り。コロナリスク管理は最も不得手ゆえ、責任転嫁の相手先探しに必死だ。今日はWHOへの資金拠出を停止した。そのWHOに近い中国も情報公開不十分と強く非難している。昨日のコロナ記者会見では自らの「功績」を自画自賛するPRビデオまで作成して記者会見の場で流すという異例の事態に。「公費でPRビデオ作成」の非難ごうごう。
更にトランプ氏には都合の悪い本音も語り、一躍「全米、時の人」となったファウチ国立アレルギー感染所長をコロナ関連定例記者会見の場から外した。

共和、民主、拮抗の情勢である。
金にはどっちが勝っても追い風ということはこれまでも語ってきたとおり。

以下は昨日の朝日新聞記事抜粋。
 金の国内店頭価格が13日、前週末より32円高い6513円をつけ、40年ぶりに最高値を更新した。新型コロナウイルスの感染拡大による景気後退への懸念から安全資産とされる金の相場は上昇。米国のゼロ金利など金融緩和策も追い風となっている。

 価格の指標となる地金商最大手、田中貴金属工業の国内の店頭価格(税込み)は今年初めの中東情勢の緊迫化を受け、1980年以来の高値圏で推移。新型コロナの感染拡大で世界経済の減速懸念が強まる中、「有事の金買い」が進み、3月上旬に一時6300円台をつけた。その後、世界で株安連鎖が続いてあらゆる資産が売られる中、金も一時値下がりしたが、再び金の買いが加速している。

 直近の金価格の上昇を加速させている理由は大きく二つあるという。金の調査研究機関ワールド・ゴールド・カウンシル元日本代表で経済アナリストの豊島逸夫氏によると、一つは新型コロナで悪化する経済のてこ入れで米連邦準備制度理事会(FRB)が進める大規模な金融緩和策という。

 米FRBは3月半ばに大幅利下げを決め、ゼロ金利政策に回帰。利息のつかない金の人気を相対的に高め、同月下旬には米国債などを無制限に買い入れて市場に資金を流すなどと発表。「この金融緩和を見据えたヘッジファンドがニューヨークの先物市場で買いを増やし、欧米の金上場投資信託(ETF)商品も買い進めている。価格を主導するのは実物の金ではないこうした動きだ」という。

 また、40年ぶりの高値の要因には、世界各地で新型コロナの感染が深刻化する中、対ドル円相場でそれほど円高とはなっていない状況もある。「ドル建てでの金価格の上昇が、そのまま円建て金価格にも反映されている」(豊島氏)という。(吉田拓史、鳴澤大)

2020年