豊島逸夫の手帖

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感染者急増

2020年7月17日

日本のコロナ情勢も第二段階に突入。深刻な事態です。本欄でも東京の感染者数が100人の大台を突破した時、NY型のウイルスアウトブレイク(爆発)懸念に言及しましたが、絵空事とは言えない状況です。日本経済もピンチ。今後拡大均衡は望めず、縮小均衡を覚悟せねばなりません。実体経済が縮小してゆく過程で日銀は未曽有の量的緩和を続けざるを得ないでしょう。経済規模が小さくなるのに市中に流通するマネーの量は激増したまま。一万円札の有難みが減じるのは必至と言えます。改めて「刷れる円・ドル、刷れない金」を意識せざるを得ません。

メディアからの取材でも、これからインフレかデフレかを聞かれることが増えました。

これまで日銀が量的緩和を継続してきても、物価上昇率は目標の2%に達しないのですから、今後もデフレ或いはディスインフレが続くでしょう。しかし現在コロナ有事対応でばら撒かれているマネーは過剰流動性と化し株価など資産価格を上昇させます。更にその影響が消費者物価に波及することが不可避でしょう。それがインフレとなる時期はまだ2~3年先。2021年前半までは市場で強く意識されることはないと思います。現時点では遥か水平線上にインフレの積乱雲が目視される程度です。その間に投資家はインフレヘッジを構築すべきでしょう。積乱雲から雷音が聞かれるような状況になればマーケットも一気に警戒感を高め、一転インフレヘッジに動くでしょう。

マネーはまず物価連動国債、そして実物資産に流入することになります。

特に最近の市場はとにかく早め早めに先取りして動きます。個人投資家にも迅速な対応が必要となります。

金高騰も既に一部のマネーが先取りで動き始めている事例だと考えられます。金市場を外から見ているプロたちの間でも不気味な兆しと見る人たちが増えてきました。筆者のところにもプロから金高騰はホンモノかとの問い合わせが急速に増えています。

コロナ感染拡大で、まずは何と言っても命を守る。そして次に財産を守る。この発想は必須でしょう。

2020年