2020年6月23日
NY金先物(期近)が1759ドルと7年半ぶりの新高値で引けた。
ダウも153ドル上昇。金と株の同時上昇。株を買うが、第二波不安ゆえ、ヘッジ(備え)として金も買っておくという「揺れる投資家心理」が透ける。
失業保険追加支給600ドル(各週)、大人ひとり最大1200ドルの現金給付の一部が金を含む投資市場に流入している。当面カネに困らない層が「小遣い」気分で気楽に買ってくる。損しても元々という感じだ。
米国内の感染者は依然増加の事例が目立つ。テキサス州知事は州内感染急増に関して「もはや受け入れられない水準に達した。」と語る。仮にロックダウン再発動ともなれば金には更なる上昇要因となろう。一方、NYはレストラン再開など経済復興モードに沸くが、仮にNYにまで第二波が及ぶと失望・ショックは大きくなろう。
スポットの国際金価格は昨日1739~1765のレンジで推移した。随分高水準の展開になったものだ。雇用統計直後の1670ドルで底値を確認した後、徐々に価格水準を切り上げてきている。
バイデン大統領の可能性が徐々に高まってきたことも、株には下げ要因なれど金には上げ要因だ。
トランプ氏の元側近ボルトン氏の暴露本出版もホワイトハウスにとって「不都合な事実」が噴出しそうで要注意である。かなり生々しくトランプ氏の中国への選挙支援要求などが描かれているという。トランプ四面楚歌状況だ。
なお、現在の金高騰に関してはNY先物の地盤沈下が顕著だ。NY市場で現物と先物の価格差が不安定に拡大・縮小しているので、代わってロコ・ロンドンが復活しつつある。更に先物に代わり金ETFが使われ、その残高が年間新産金とほぼ同じ水準に達していることも市場の構造変化を物語る。
コロナは金取引の形態をも変えてきた。
なお、本日午前中にトランプ政権通商担当ナバロ氏がFOXニュースで以下の発言。
「米中貿易協議はおしまいだ。終了する。第一段階合意時に中国側はコロナ武漢発生の事実を知っていた。この行為は真珠湾攻撃数週間前に日本政府が米国政府に平和協議を持ちかけたことに似ている。」
この報道でダウ先物は300ほど急落。金は急騰後、戻しているがNY市場の反応待ちだ。