2022年2月18日
円建て金価格がほぼ過去最高値水準に接近中だ。突破も時間の問題と思われる。
まず、国際金価格が1900ドルの大台突破。
更に、114~115円台で中期的には円安傾向。これが昨年と異なる大きな変化だ。
キッカケはやはりウクライナ発の有事の金であった。
以下に昨日の経緯を詳述する。
「ロシア軍の一部撤収」に関しては懐疑的見解が当初から相次いで語られていた。米国もNATOも言葉だけでは信じられず、証拠を見せろとばかりにロシアに迫っていた。市場も堪らず懐疑論に傾いたのは日本時間17日午後遅くになった頃だ。アジア市場から欧州市場へバトンタッチする時間帯で取引は薄く、値は荒れやすい。じわり安全資産とされる米国債、円と金が買われ始めた。その後、市場のリスク回避モードはニューヨーク市場大引けまで続く成り行きとなった。米10年債利回りは2%の大台を割り込み1.9%台半ばまで下落。円は114円台後半まで短期的に上昇。金は1900ドルの大台を突破。歴史的高値圏に突入している。一方ダウ平均株価は今年最大の下げ幅となった。
更に、インフレに関してはセントルイス連銀ブラード総裁が、コロンビア大学主催のパネル討論で「ここでFRBが動かなければインフレが制御不能になるリスクがある。我々が想定していない新たなサプライズ要因があるかもしれない。」と語った。
さて、1900ドルを突破すると実需はマイナス(売り戻しが多い)の状況でNY先物主導の空中戦になり、ボラティリティーは一気に上がる。まずは1920ドルの水準が値固めできれば更なる上値も考えられる。とは言え1900ドル台ではかなりの利益確定売りも待ち構えている。そもそも地政学的リスクによる急騰は一過性だ。ウクライナ要因が第一弾ロケットとすれば、インフレが第二弾で、成層圏脱出=2000ドル突破の可能性を残す。
対してウクライナ情勢が長期化するシナリオも無視できない。その場合、有事の金買いは続かない。そこに利上げ7回、0.5%幅利上げ、1兆ドル規模のFRB資産圧縮が重なれば、如何にインフレと言えど金利を生まない金には強い逆風となる。
筆者のアドバイスは今までどおりコツコツ買い増し、金のストックを増やしてゆくこと。有事の金のまとめ買いは悪魔の選択だ。インフレヘッジの金保有は老後まで見据えたインフレリスクへの対応と考えるべきだ。年金の天敵はインフレなのだ。
1900ドルでも今までどおり長期計画に沿って、まとめ買いを避け、粛々と買い続けること。この価格水準は投機相場ゆえ、上に行くか、下に行くか、短期的にはギャンブルだ。
長期的には3000ドルの見解は全く変わっていない。一歩近づいたと考えている。