豊島逸夫の手帖

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ECB中央銀行フォーラム、黒田総裁不参加の影響

2022年6月30日

昨晩はポルトガルの保養地シントラで毎年開催されるECB主催の中央銀行フォーラムがあった。

2018年の本欄にも「中央銀行『シントラの密約』」と題した記述がある。

今年はラガルドECB総裁、パウエルFRB議長、更にイングランド銀行総裁らが壇上で討論した。話題は当然「インフレと利上げ」。特にサプライズ発言はなかったが、欧米中銀首脳が集まるだけで、市場は世界的インフレや利上げ傾向を改めて認識させられる。

特に日銀黒田総裁が不参加だったので、主要国で未だ利上げの段階には至らず、ひたすら大規模緩和を続け、我が道を行く日本の立ち位置が強い印象を与えた。ドル円相場は137円突破の局面も。

仮に黒田総裁も利上げ議論に参加したら、もっと明確に円金利水準の異常な低さが印象付けられていたことだろう。円安に手を焼く日銀としては黒田氏欠席で正解だったのかもしれない。

筆者もシントラにはプライベートな旅行で訪れたことがある。山の上の宮殿など、歴史的遺産が並ぶ風光明媚な観光スポットだ。たまたま宿泊したホテルの部屋に天正遣欧少年使節団を描いた絵が飾られていたことが印象的であった。
そこでECB主催の中銀フォーラムが開催されることになろうとは思いもしなかった。

そのフォーラムでの議論は、友好的ではあるものの、各国の立場の微妙な違いが浮き彫りとなる。
利上げを最終的には4%近くまで進めるFRB、これから利上げ決定に向かうECB、そして利上げどころか量的緩和政策を継続する日銀。円安が140円に接近しても特に不思議はない市場環境と言える。

金利を生まない金はジリジリ値を下げ1810ドル台の展開。しかし円=137円が円建て金価格を支える構図に変わりはない。

そして今日の写真は、最近お気に入りのフォーシーズンズホテル東京大手町でのディナー。タップリしたスズキのグリル。そしてデザートはレモンケーキ。ここの料理はアフタヌーンティーもそうなのだが、上品な味付けでセンスも良い。そして眺めも良い。敷居が高く感じられるのか、それほど混み合っていないので、静かな雰囲気も良い。
とは言え、一歩外に出ると近隣に勤務する知り合いの商社マンや経済新聞記者たちに遭遇する環境でもある。

それにしても酷暑だ~~。筆者は予定を早め、札幌サテライトオフィスに移動するよ。

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2022年