豊島逸夫の手帖

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雇用統計、バイデン大統領の目標は就業者増15万人

2022年9月5日

「今後、雇用統計の就業者増は減少するであろうが、懸念には及ばない。」
「月次の就業者増が現在の50万人程度から15万人近くへ移行すれば、低失業率と健全な経済の観点から来年の経済回復第二段階が成功するサインとなろう。」
バイデン大統領は米経済紙へ寄稿文「インフレ退治、私のプラン」(5月31日付け)でこう明言している。

8月雇用統計では就業者が31.5万人増加した。7月の52万人増よりは下落したものの、バイデン大統領が目標とする15万人増よりかなり上振れている。パウエルFRB議長の視点では依然労働市場過熱収まらず、金融引き締めによる国民の痛みは続く。しかしディーズ国家経済会議(NEC)委員長は雇用統計発表直後のテレビ生出演で、この数字を「solid(底堅い)」と評価した。ホワイトハウスからの就業者増を懸念するような発言は控えられた。

中間選挙を控え、やっとバイデン支持率が増加に転じている矢先のこと。「インフレ退治のためには31.5万人からもっと減ってもらわないと労働市場の過熱は収まらず、インフレ退治も覚束ない。」とホワイトハウスが本音を語れば、トランプ氏が即「雇用者を減らすのか。」と食い付きそうだ。

インフレ年内鎮静化は無理筋としてもピークアウトの兆しとして就業者減少が望まれる。しかし政治的には素直に受け入れ難い経済議論だ。民主党の抱えるジレンマと言えよう。

企業の求人件数も前回はピークアウトの兆しを見せたが、7月は1123万9000件と再び1100万人の大台に戻ってしまった。働く意欲のある人一人に対して求人件数が2件を超すという過熱ぶりはバイデン政権も持て余す現象だ。

更に、失業率が3.5%から3.7%に上昇したことをインフレ退治のためには必要な一歩と説明しても、トランプ氏は「失業を喜ぶ政権か」と批判しかねない。相対的に経済リテラシーが低いトランプ支持層なら怒りの声を上げるかもしれない。

そして雇用統計の平均時給も年率5.2%と高水準を維持した。
ここで「しつこい(sticky)賃金インフレ」とエコノミスト風に講釈しても、「賃金が上がって何が悪い」と反発を食らう可能性もある。

失業より物価安定優先。FRBの苦渋の選択は選挙年ゆえ現政権党にも苦渋の説明を強いるのだ。更に米国民の金融リテラシーも問われる。

なお、ディーズNEC委員長は働き盛りの労働者の労働参加率上昇を強調した。これは市場内でも歓迎すべき現象と評価されていることだ。25歳から54歳の所謂「プライム世代」の労働参加率は82.8とコロナ前の83台近くまで回復してきた。コロナ勃発直後には80を割り込む局面もあった。職場感染回避の心理が弱まり、失業保険の特別手当支給も終了して、より良い就職先を目指し自己啓発のための休職も一巡。学校再開も進み、働くママたちの復職も増加傾向だ。離職率が2.7%とコロナ前の2.2%を大きく上回り過去最高水準となっていることも注目される。労働者がより待遇の良い就職先を求めて離職する傾向の強まりを示すからだ。

但し、全世代の労働参加率は62.4%と改善傾向なれど、コロナ前の63.4%には未だ及ばない。未だ働けるベビーブーマー世代の退職や移民の減少が今後の問題として指摘される。

総じて、ウォール街ではどの程度の就業者増と失業率上昇が経済軟着陸に向けて最適かとの議論が交わされる。失業率下落に関しては就職を諦めた労働者の増加が寄与していることも事実だ。FRBを超引き締め継続にも追い込まず、実体経済へのダメージも最小限に留まる失業率水準としては、4%台半ばが「熱過ぎもせず冷た過ぎもせず適温経済にふさわしい」と市場は見る。就業者増は半年程度の月次平均値として10万人台程度が「適温」か。金融政策効果判定にはタイムラグがあることも悩ましい。その過程で仮に前月比マイナスの数値が出てもノイズ(雑音)或いは統計的「外れ値」として処理されよう。
もはや市場の雇用統計の評価もこれまでの「市場の常識」は通用しないことを留意すべきだ。

今回の雇用統計に関しては熱いか冷たいか未だ決めかねて国際金価格は1700ドルを挟む動き。円は140円攻防。

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そして今日の写真はホテルでの朝食ビュッフェ。食欲旺盛。特にスイーツ系と野菜フルーツ系が充実しており、毎朝おかわりして2回にわたり食べまくっている(笑)。

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土曜の超混み札幌の夜は人混みを避け、桑園(そうえん)のモールで今シーズン最後のウニと新鮮なイカと太巻きを買い込み内食。デザートにセコマのメロン、イチゴ、西洋梨のアイスクリーム。
北海道ならではの楽しいおうちごはん。

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2022年