2022年11月29日
中国民衆が遂に数億人規模のロックダウンへ反旗を翻した。習近平強権体制を揺るがす事態だ。民衆の圧力に屈して習近平氏が譲歩することはあり得ない。特に言論弾圧、反共産党にまで火の手が拡大すると強烈な手段で抑え込むであろう。ロックダウンが散発的に留まれば、地方政府の責任者の行き過ぎた行為として片付けるかもしれない。しかしこれから厳冬を迎える時期に散発的では収まるまい。
この重大事は地政学的リスクではあるが、今のマーケットにとってはインフレ関連の影響の方が気になる。
ロックダウンが更に拡大すれば、中国経済を疲弊させるのでインフレ抑制要因になる。パウエルFRB議長の立場なら本音は歓迎かもしれない。
とは言え、サプライサイドのインフレに関しては、iphone工場の操業停滞の如く、モノの流れの目詰まり要因となりかねない。
それゆえ、インフレヘッジとしての金の価格へも影響は必至だ。更に中国金需要の減少要因ともなる。要経過観察だ。
なお、今週から12月FOMCまで雇用統計やCPIなど、重要経済指標のオンパレードとなる。
結論から言えば、筆者は2022年の金相場はこのまま現水準で終わると見ている。何があろうともインフレ上昇、インフレ低下にしても1回や2回の変動でパウエル金融政策は変わらないからだ。
しかも年末。新たなポジションを年内に作る動きは限定される。既存のポジションの巻き戻し(カバー)が主体となろう。
そういうわけで筆者はやや距離を置いて推移を見守っている。一喜一憂はしない。アドレナリンは出てこない(笑)。総じて金価格は来年の上昇を視野に1700ドル台の値固めか。