豊島逸夫の手帖

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NY金、1700ドル割れの局面も

2022年7月15日

金の国際価格は1700ドルの大台攻防。

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やはり1%幅利上げとかの話になると、インフレ懸念は強くても金市場には逆風だね。実質金利がプラス圏で上昇が加速すると、投資家の立場では、国債などの債券を持てばインフレによる目減り以上の利回りを確実に得る。リスク資産の株や実物資産の金などを買う切迫感は薄まる。しかもドル金利上昇でドル高になる。ドル高は金には逆風。これが普通の説明。

しかし、振り返れば金は昨年からドル高でもドル安でも上昇するケースが目立っている。金とドルの関係が市況の法則を無視している。要は自分のポジションに都合の良い解釈を囃すのがヘッジファンドの習性なのだ。

なお、利上げ1%幅の話も誰が言い出したのか不明。要は6月の米消費者物価上昇率が年率9.1%と想定を超えたので、市場の誰かが「これほどエスカレートするインフレを退治するためには、7月FOMCでFRBが1%程度の利上げを敢行する必要があるのではないか。」と言い出した。そして市場内には「そうだ、そのとおりだ。」と賛成意見が急速に流れた。それを見てアトランタ連銀ボスティック総裁(今年はFOMC投票権無し)が「何でもあり。(Everything is in play)」などと意味ありげな発言をした。市場はその発言を1%肯定と解釈した。まぁこんなところだ。

昨日になってウォラーFRB理事やセントルイス連銀ブラード総裁が1%について聞かれ、0.75%で十分と答えている。その結果市場内では1%説が尻すぼみになりつつある。

とは言え、それでも金は1700ドル攻防。今年の流れでは2000ドルに挑戦して失敗。そこで今度はどこまで下がるのか下値模索中。市場は売りの口実探し。
筆者の見解は変わらず。1700~1950のレンジ。
今やゴールドマン・サックスの2300ドル説は遠いね。
長期的には筆者も3000ドルを想定しているが、年内2000ドルは難しそう。

但し、円建て金価格は引き続き円安効果で下げ渋り。日本人金投資家にはフォローの風が吹く。NY金価格が下げ、しかも円高で円建て金価格がダブルで下がるという状況が続く時期もあった。相場は生き物と言われるが理屈どおりには動かないもの。日本人は必死に解釈を探そうとするが真面目すぎるね。もっと肩の力を抜いた方が良い。
現価格水準は歴史的高値圏だ。あまり欲張らない方がよろしい。

とまぁ説教したところで、札幌便り。
今日は寒いくらい涼しい。かと思えば30度以上の日もある。既に観光客が急増中。そして感染も急増中。ということで筆者はワクチン接種のため、週末帰京することに。直ぐに帰札するけどね。

いろいろ食事も買い込み、ホテルの部屋で食する機会が増えた。
さすが札幌。写真のような素晴らしいウニが2500円。雄務(これで「おうむ」と読む)産。ウニを柵ごと平らげるのも北海道ならでは。その他豊富な海産物を買い込み、ゴルフの全英オープン中継を見ながら食事を楽しむ。

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なお、今日の日経電子版の筆者コラムは大谷選手の記事の隣で何か嬉しかった(笑)。昨年はホームラン競争に出て力んでから不調になったので、今年は参加しないで正解だよ。

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2022年