豊島逸夫の手帖

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円、メスター総裁見解を信じれば、来年150円台も

2022年9月1日

来年早期には政策金利を4%以上に引き上げて、更に暫くの間維持する。このメスター発言が31日の外為市場でドル買い・円売りエスカレートを誘発した。

クリーブランド地区連銀メスター総裁は今年のFOMCで投票権を持つ。筋金入りのタカ派だが、今やFOMC内のハト派は「絶滅危惧種」と言える。ミネアポリス地区連銀カシュカリ総裁とサンフランシスコ連銀デイリー総裁がハト派の代表格であったが、今やタカ派に転身した。それゆえメスター総裁が31日にオハイオ州デイトンでの講演で述べた見解はFOMC内の主流と見て間違いなかろう。同総裁はジャクソンホールでもヤフーファイナンスとのインタビュー同様の発言をしているのだが、あの日はパウエル講演の圧倒的インパクトの中に埋もれてしまっていた。

僅か1年余りの期間で政策金利をゼロから4%台にまで引き上げるとは市場にとっても未曽有の体験となる。海図なき航海ゆえキャプテンパウエルのナビゲーターとしての手腕が問われよう。メスター総裁はそれでも不況入りは無いと見ている。トレンドラインの年率2%成長を下回る水準での推移と予測する。米国経済のソフトランディング(軟着陸)をもじり、ソフティッシュランディング(かろうじて軟着陸)の類を想定しているようだ。マイルドなリセッションとも言われる。更に失業率については現在の3.5%という歴史的低水準から4~4.25%程度まで上昇は止む無しとの見解だ。国民の痛みを伴うが(4%以上に政策金利を引き上げなければ)更に痛みは悪化すると語る。それゆえ将来を見据えて暫時耐えて欲しいとの姿勢である。

なお、インフレ鎮静化の見極めには値動きの激しい品目を除いた刈り込み「クリーブランドインフレ指標」を重視している。数か月単位でトレンドに定着傾向が見えることが判断の条件だと述べている。

この発言で31日の市場ではグローバルマクロ系のヘッジファンドがドル買い・ユーロ売りと円売りに動いた。短期利ザヤ目当てのCTA(コモディティートレーディングアドバイザー)とは異なり、来年を睨む中期的通貨ポジションだ。総じてユーロを取り巻く地政学的エネルギー情勢は政治的要因で急な変動リスクがあるが、日銀は「永遠のハト」と位置付けられ、中期的ポジションに馴染む。

円は政策金利4%超えなら150円への下落を視野にジックリ待つスタンスである。

但し、金市場が気になることはメスター総裁が「政策金利は実質金利ベースでプラス圏内でなければならない。」と断定していることだ。30日にはやはりニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁が「政策金利は実質金利が重要で、0.5%程度のプラス圏を想定している。」と語っていた。インフレ率が3%であれば名目政策金利は3.5%が必要との見解である。

プラス実質金利は国際金価格には逆風になるので、金市場の視点では憂慮すべき発言だ。これまで実質金利がマイナス圏に沈んでいたので、国際金価格上昇に拍車が掛かった経緯もある。
国内金価格には更なる円安の追い風。国際金価格にはプラス実質金利の逆風。ここは留意しておく必要があろう。

さてさて、「おかえり園田くん」に「三村くん」も衝動買い(笑)。もふもふ感が家族にも好評で抱き枕に使っているみたい。人気商品のようでショッピングサイトでも売り切れ続出の表示ばかり。どうやらコロナによる生産流通制約で生産或いは原材料輸入が滞っていると見える。あるいは中国製なのか。「おかえり園田くん」公式サイトまであって戸田くん、黒部くん、阿部くん、八尾くん、伊豆くん、小栗くん、柴野くん、羽柴くんとそれぞれ色や模様が異なる。

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2022年