豊島逸夫の手帖

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サンフランシスコ連銀総裁発言、金価格を試す

2022年3月24日

金価格がドル金利高、ドル高にも関わらず、1950ドル近くまで上昇中。

昨日はサンフランシスコ連銀デイリー総裁発言が特に注目された。ブレイナード氏の対抗馬としてFRB副議長候補に名前の挙がった人物。筋金入りのハト派だが、22日に同総裁が見る中立金利2.5%を上回る利上げも2023年にはあり得ると発言。0.5%幅利上げも選択肢として認めた。FOMC会合2回ごとに1回のような過去の通常利上げペースを前倒しして早めるとのパウエル議長発言に同調したのだ。この「前倒し=フロントロード」も利上げについてタカ派が好んで使う表現だが、ハト派が語ることは珍しい。
これでパウエル議長の利上げ加速案がFOMC内のハト派からも支持されていることが確認された。

この潮目の変化に対応してゴールドマン・サックスは5、6月連続0.5%利上げ、年後半は0.25%利上げと利上げ予測を修正した。

なお、デイリー総裁は普段から易しく金融解説するため、WEBINARにも積極的に出席している。同総裁は不況を誘発せず利上げを成功させる米国経済軟着陸の難しさを「高速運転中にブレーキを踏む時、後部座席の人が前のめりで頭を打たないように配慮する如く」と語っていた。仮に軟着陸に失敗してハードランディングとなれば、リスクオフで金は買われる。

一方、パウエル議長のボルカー化も話題だ。
議会公聴会でシェルビー上院議員からボルカー氏の前例を持ち出され「ボルカー氏の如く、価格安定のため、躊躇なくできる限り実行する用意はできている」と答えたからだ。ボルカー氏を「過去最上級の公務員」と称えている。果たしてパウエル議長も歴史に名前を残すことになるのか。

パウエル議長が21日に司会役から「FRBが0.5%利上げすることを止めるとすれば何が考えられるか」との質問に「nothing(何もない)」と、にべもなく答えたことも改めて話題になっている。

ウクライナ戦争の影響についての発言も興味深い。
今や毎度おなじみのセントルイス連銀ブラード総裁は「ロシアの出方など、利上げは待っていられない」と語った。同氏はFOMC後、既に4回ほど発言している。思えば同氏が昨年後半に「2022年3月利上げ説」を語り始めた時には極論と扱われたものだ。それだけに「それみたことか」との自負が滲む。タカ派の鼻息は荒い。

市場が気になるのはFRB資産圧縮プログラムの詳細だ。次回以降議論するということでほぼ発言は一致している。クリーブランド連銀メスター総裁が「まずMBS住宅担保証券から減らし、FRBのポートフォリオを国債中心にすべき」と発言した程度だ。デイリー総裁は毎月の資産圧縮量次第では1回利上げ相当分の引き締め効果があると語っていた。今後の高官発言ではこの重要問題についての具体論が市場には大きな影響を与えそうだ。金市場もこれまで最後は「過剰流動性相場」に頼ってきたが、マネーの点滴を外される患者の如き不安感に襲われる。時あたかも日米とも売りの買い戻しが一巡したところで、ここからが金価格の真価を問われる段階に突入である。

さて、今日の写真は「悲劇」の一瞬。鯛焼き評論家の私の一押しは札幌のサザエ。その出店が渋谷にあると聞きつけ、さっそく赴いたところ、何と、何と、お彼岸中はオハギだけで、鯛焼きは中断中!ガッカリして未だ一部咲きの桜を見て回った次第(笑)。それにしても、こんな感じでコロナ時代の私の生き方は変わったねぇ(笑)。

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2022年