豊島逸夫の手帖

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ロシア軍、日本海で弾道ミサイル訓練発射

2022年4月15日

筆者が最もウクライナ戦争で危機感を抱いたのは、ロシア軍がウクライナの原発・核施設を砲撃、占拠した時であった。まさに核の危機リスクを感じた。そして日本人にとっても有事が「他人事ではない」と感じたことが、昨日報道された首題の日本海ミサイル発射だ。一人の日本人として脅威を感じた。

これまでは「有事」と言っても、日本からは遠い地球の裏というような感覚があったが今回は違う。台湾有事、北朝鮮ミサイル発射、そしてロシア軍ミサイル発射。プーチン大統領なら照準を日本領土に合わせ威嚇発射しかねない。日本人も有事に備えねばならない時代になったとつくづく感じている。

さて、欧米イースター休暇入り前のNY市場では、小康状態にあったドル金利が再び上昇したことで、ドル高・円安が126円まで再び進行した。ドル建て金価格は大きく動かなかったので、円安分だけ円建て金価格は上昇している

筆者の40年に亘る金市場との付き合いの中でも、国際金価格が1900ドル台という歴史的高値圏にある時に、外為市場ではドル高・円安が進行するという局面がこれほど長く続くことは初めてのことだ。国際金価格が1900ドルを突破したのは、2011年ギリシャ危機、そして一昨年そして今年と3回ある。その中で2011年は80円を割り込む超円高、2020年は105円とか108円の円高傾向であった。然るに今回は120円台の円安。今や130円予測が当たり前になってきた。国際金価格は同じ1900ドルでも、円相場はそれぞれ全く異なる次元にある。

従来はドル建て金価格が上昇しても円高で相殺されることが普通であった。そもそも市況の法則がドル安(円高)=NY金高であった。それゆえ金の世界ではパラダイムシフトが起きているわけだ。

NY金高、ドル高、円安の共存となったのは、米国のインフレが年率8%台まで亢進したのに対し、日本では相変わらず物価上昇率目標の年率2%が達成されていないからだ。結局米国のインフレ懸念でNY金は買われると同時に、米国がインフレ退治を優先させて利上げに動きドル高・円安になった。

まとめて言えば、日米金融政策が米国は引き締め、日本は緩和継続に割れていること。その背景として米国では物価が急上昇中だが日本では未だに物価上昇率2%が達成されないことが挙げられる。しかも未曽有の量的緩和でドルも円もユーロも通貨の価値が希薄化している。

円建て金価格史上最高値更新の意味は深いのだ。筆者が驚くことは、日本でも国民の間では物価高が実感され始めたので、史上最高値圏でも将来のインフレヘッジとして金の買いが見られることだ。従来であれば顧客の売り一色となるところだ。

それほどに円という通貨への信頼度も落ちているということだろう。筆者がしばしば引き合いに出す日銀OBたちの個人的金買い傾向は加速している。量的緩和というカネばら撒き金融政策の現場に長く身を置いた人たちが、虎の子の退職金を円では持ちたがらないという傾向は実に示唆的である。

なお、国内金価格史上最高値のニュースはNHKニュースでも報道され、お茶の間の話題になっている。筆者もNHKの取材を2回に亘って受けた。いずれユニークな番組として放映されるだろう。

さて、今日の写真はバジルのふわふわニョッキとつぶ貝・ホタルイカのトマトソースパスタ@自由が丘マガーリ。これからのシーズンは筍のパスタもいける。円安騒動などで殺伐とした仕事場を離れ、ほっこりした時間を家庭的雰囲気の中で過ごせた。

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2022年