豊島逸夫の手帖

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注目のCPI、市場は動けど、FRBは動かず

2022年9月13日

昨年「インフレは一時的」と見誤る痛恨の判断ミスを犯した当時に副議長の職にいたクラリダ氏が、先週テレビ出演で「謝罪」していた。

一方、ウォラー現FRB理事は謝罪をせず「fool(騙された)」という単語を使い悔しさを滲ませた。曰く「思い起こせば一年前、数か月インフレ率が落ち着く兆候を見せていたが、その後急反発した。これで我々(FRB)の引き締めへのピボット(政策転換)は数か月遅れたと思われる。一時的インフレ緩和に『騙された』上に、同じ過ちを繰り返せばFRBの信頼性に傷が付く。」。

パウエル議長も「謝罪」はせず、淡々と「誤診」を認めている。
それゆえ本日発表のCPIが先月に続き低下傾向を示しても、FRBがそれで引き締めの手を緩める様なことはあり得ないと断言できる。「数か月」インフレ低下傾向が続いて、初めて政策点検の対象となりそうだ。対して市場はインフレピークアウトの有力な証しとして歓迎するであろう。米国経済の軟着陸シナリオが勢いを得そうだ。既に株価はこのシナリオを織り込み上昇中だ。ドル金利は下落しよう。日本の視点で気になる円安・ドル高傾向に歯止めがかかるキッカケになるであろう。特に通貨投機筋が、既に膨張した円売りポジションを巻き戻し、対ドル円相場が140円台を割り込む可能性がある。

逆にCPIが反発すれば、円相場が145円突破もあり得る。円はまさに分水嶺にある。国内金価格は引き続き円相場次第。

さて、今晩のCPIナイトを控え、昼の部はニドムで鹿に囲まれながらのゴルフ(笑)。気温20度でまさに適温。
米国経済も適温経済(インフレ過熱で熱過ぎず、インフレ退治で冷え過ぎず)となるか。CPIはひとつのヒントになろう。

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2022年