2022年4月12日
首題の記事が本日の日経新聞朝刊マーケット商品面に載った。
3月には118億ドルの流入超過となり、初めて金ETFが上場されてから最高になった。ほぼ60トン相当。昨年は流出超過が続く時期もあったので、明らかに潮目が変わった。
買いの主体はヘッジファンド。これまでの事例では数か月から1年以内で売り戻す。
あとは富裕層や年金のまとめ買いが目立つ。ここは長期保有派。
最近は中国人の買いも入ってくる。中近東の政府系ファンドが購入した事例もある。NYで初の金ETF上場に直接関与した筆者としては、本当に大化けした商品だと思う。SEC(米国証券取引委員会)の認可取付には1年半もかかった。SECは金の知見がなかったので、金のイロハからレクチャー。その部分がリスク開示文言となり、そのままプロス(目論見書)でかなりのページになった。そもそも米国最大の年金基金カルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金)のCEOを9年務めたジェームズ・バートン氏がワールドゴールドカウンシルのCEOにリクルートされ、年金を保有できる形での金投資商品として開発された。現物金を購入して、有価証券化して、上場することにより、年金運用にも馴染む。上場後2年ほどは鳴かず飛ばずだったが、大手年金が買い始めてブレークした。統計として発表されるのはストックとしての残高。氷山の一角であり、その背後には大量の売買(フロー)がある。特にヘッジファンドの参入以来、出来高(未発表)は急増した。日本ではネット証券がFX感覚の個人投資家向けにも販売している。それゆえマネー流入期もあれば、マネー流出期もある。総じて年金や世界の富裕層の買いのストックが徐々に積み上がり、「根雪」の如くなっている。その上にドカ雪の如くヘッジファンドの買いが積み上がった。この部分はいつ表層雪崩をおこしても不思議はない。
かくして、金ETF残高は市場の方向性を示す重要な指標になったのだ。個人的には我が子の成長を見る思いで感慨深い。なおETNというのは現物の裏付けがない。金価格に連動するだけだ。
ETF導入により、金の金融商品化が進行して、金価格変動要因もコモディティーとしての需給よりもマクロ経済要因の影響が強まった。
さて、今日の写真は久しぶり東京ミッドタウンの虎屋。ここの季節の生菓子がお薦め。抹茶、ほうじ茶、煎茶から選べる。葛切りもいける。ホンモノだよ。そして汁粉。キリがない(笑)。先日は男4人でスイーツセッション。異様なオッサン四人組で店内の雰囲気から完全に浮いていた(笑)。