2022年11月18日
毎度お騒がせのセントルイス連銀ブラード総裁が、政策金利予測で「最もタカ派シナリオ」ならば、7%という数字を明示した。
これまで最もタカ派の数字としては6%というのがあったが、いきなり7%と来たか。利上げ減速モードに浸っていた市場にはサプライズ。金市場には下げ材料。1785ドルから1755ドルまで反落。
ブラード総裁の考え方に着いてゆけない面もあるが、何せ先取りして当たってきた実績がある。昨年(2021年)の段階で、3月には利上げと断じた時も市場の反応は半信半疑であったが、結局同氏の予測どおり2022年3月にFRBの利上げが開始された。その後も次々に同氏の予測を追認する如く、FRBの政策金利水準も急速に切り上がってきた。それゆえ市場も内心「7%まで利上げしたら、副作用の不況もハンパないよ」と思いつつ、渋々ながら「そういう意見もある」ことを意識せざるを得ない。
民間でも米国CPIが若干下がったとは言え依然年率7.7%の高水準にあるのだから、本気でインフレの芽を摘む気ならば、7%程度の政策金利もあり得ないと否定はできない。
実際FRBはこれまでブラード総裁の極論を持て余していた。しかしFOMC参加者の中には、これほどのタカ派がいるということが検証されたわけだ。とは言えあくまで少数意見の域を出ない。
筆者は7%まで行くとは思わない。
FRB高官の中で筆者が好印象を持つのはサンフランシスコ連銀デイリー総裁だね。宝塚の男役スターが老いたらこうなるという感じだが、年齢はともかくカッコいい。発言も綺麗な発音で分かりやすく、難解な金融政策論を説明してくれる。元来ハト派だが、今回のインフレ抑制議論ではタカ派に徹して、パウエル金融政策に同意の姿勢だ。「利上げを止める(pause)など、議論もされていない」と一蹴する。「私は利上げの終着駅は5%以上と予測している」とCPI後の利上げ減速モードの中でもきっぱり言い切った。
市場が見る金利予測も来年半ばまでに5%超え論が優勢であったがCPI発表で4.8%へ下落。しかしブラード発言で再び5.2%まで上昇中。円相場も140円台前後で推移している。150円を見たので「円高気味」と言われるが中期的にはまだまだ「円安トレンド継続」だ。