豊島逸夫の手帖

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トランプ氏の呪縛から解放されない市場

2022年1月5日

ウォール街は今週木曜日1月6日に開催予定の政治イベントに秘かに身構えていた。それはトランプ前大統領の記者会見である。1月6日は米国議会襲撃事件から1年目にあたる。バイデン大統領の支持率が低下する中でいったい何を言い出すのか。市場も、そして特に中間選挙を控える共和党議員も大いに気になるところであった。
ところが日本時間今朝になってトランプ氏は突然記者会見をキャンセルした。やれやれとばかりの安堵感が漂っている。

政治の視点では多くの共和党議員が本件に関しては明言を避けていた。次期共和党大統領候補に関する予備調査ではトランプ氏の名前が断トツ一位に来ている。先月12月のロイター調査では共和党員の54%がトランプ支持。二位のデサンティス・フロリダ州知事11%を大きく引き離している。しかし議会襲撃煽動疑惑、納税疑惑など、灰色のイメージがトランプ氏には付きまとう。とは言えトランプ支持の共和党員は依然一大集団を形成しており、中間選挙候補者には「トランプチャイルド」たちの名前が目立つ。共和党議員は日本流に言えば、清濁併せ呑むかの如き現実的対応を強いられる。

非営利で良識派メディアとされるPBS(公共放送サービス)のコメンテーターが「訴訟まみれでグレーな存在のトランプ氏が、本当に次期大統領候補になるとは到底信じがたい。」とのキャスターの問いかけに「トランプ氏が次期大統領候補になるなどあり得ないと語る人は手で両目を覆って、私には何も見えないと言っているに等しい。米国の政治の実態が理解できていないのだ。」と応じたことが筆者の印象に残っている。

市場の視点は更に複雑だ。
ウォール街には「隠れトランプ支持派」が少なくない。とにもかくにも株高を歓迎してくれる。法人税も減税してくれた。規制も緩和してくれた。ウォール街を金持ち・エリートの象徴と位置付け、株価とは距離を置き規制強化には熱心なバイデン氏との差が鮮明だ。中間選挙予測に関しては民主党有利と言うより、今や民主党が何議席落とすか、その負けっぷりの度合いが注目されるほどである。隠れトランプ派は秘かな期待感を抑えつつ情勢を見守っている。

当のトランプ氏は「フェイクメディア」との記者会見を自ら回避して中間選挙応援演説役に徹する姿勢だ。
「諸君の私への期待感は分かるが、中間選挙の結果を見てからでも遅くはあるまい。」とも語っている。
2022年も米国市場はトランプ氏の呪縛から解放されない。

金市場の2022年ビックリシナリオとしては、中間選挙で共和党地滑り的勝利、トランプ氏次期大統領選出馬宣言。市場の多数派はトランプ嫌いゆえ政治ショックでリスクオフ、金買い集中。

さて、今日の写真は大晦日恒例の仲間内年越し会。
全て料理上手の妻の手作り。常連のマガーリのマダムが彼女の人気ブログで詳細に紹介してくれた。
私の好みは肉とカニの右上にある栗きんとん。栗は私が秋に裏磐梯のゴルフ場で拾い集めたもの(笑)

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それから油揚げ包の中味は山芋とゆり根。蛸と海老のアヒージョ。そして揚げゆり根。御殿場名物焼き豚とアボカド。その他、全部で12種類。

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ワインはソムリエのマダムのチョイス。酒を飲まない私はひたすら十六茶!
除夜の鐘が始まり「蕎麦がまだだ!」と大騒ぎになり、午前12時2分前に滑り込み年越しそば(友人持参の麻布十番川上)。1分出遅れた私はてんぷら蕎麦を食べながら「明けましておめでとうございます」になった次第。

まぁこんな集まりもオミクロン株でまたまた当分お預けだね。沖縄でいきなり600名感染。米軍基地もあり、数日で指数関数的感染爆発始まる。東京の規模だと月末には数万人になっても不思議はない。軽症コロナの心理的許容度が試されそう。心の準備だけはしておこう。

2022年