豊島逸夫の手帖

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円安126円、海外金1970ドル台

2022年4月14日

KITCOグラフ緑線が示すように国際金価格は1970ドル台まで水準を切り上げ。一方、円は126円突破の局面も。

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ご存じのとおり、筋金入り円安派の筆者にしてみれば、我が意を得たりの展開だが、そう素直には喜べない。外国人投資家による「日本見切り売り」の様相も見え隠れするからだ。

以下は今回の円安の実相。
「黒田日銀総裁は緩和政策を誓う。輸入物価上昇の経済への打撃を懸念。」
日本時間13日午後、ロイターが世界に流した記事の見出しである。

第三波、第四波の円売り攻撃を仕掛けるタイミングを虎視眈眈と狙っていた海外通貨投機筋は、この報道を利用して直ちに円売り攻勢をかけた。アジア時間から欧州時間へバトンタッチされる時間帯で商いも薄く、相場を動かしやすい。しかも本欄で繰り返し伝えてきたように2021年10月時点から円売りの波状攻撃を繰り返して連戦連勝。じっくり次のタイミングを待つ余裕もあった。

「海外通貨投機筋」も二手に分かれる。
まず、超短期売買で差益を狙うCTA系ヘッジファンド(コモディティートレーディングアドバイザー)が先陣を切る。その次に控えるのがグローバルマクロ系ヘッジファンド。中期の世界経済政治情勢を読み動く。彼らは日本の資源輸入依存と日銀の金融政策選択肢が緩和継続に限定されることを見抜き、じっくり腰を据えて円売りポジションを増やしている。初めて日銀が打ってきた「連続指し値オペ」という名の金利抑え込み策も「円安覚悟の窮余の一策」と解釈した。結果的にほぼ半年で115円から126円まで円安を進行させた主導役となったのだ。今や日本株のみならず円相場もプレイヤーは外国人主流。日本人は専ら解説役に回っている。更に外為市場ではドルインデックスが100の大台を突破して、ドル高一色の様相だ。この世界の流れに日銀が円買い・ドル売り介入を実施しても成功確率が低いことも見抜いている。黒田ラインはスルーされた。バイデン政権もウクライナ戦争とインフレへの傾注を余儀なくされ、自国通貨安競争や為替監視まで目配りする余裕はない。ロシアや中国に対し日米の結束が揺れる如き言動は控えねばならない。

かくして、国際通貨投機筋が円安で大儲けの話は市場内に拡散され、これまで円には興味もなく、日本経済の知見も薄いヘッジファンドまで参入を開始してきた。ドル円通貨ペアが最も混み合うトレードになる兆しも見える。0.5%幅の連続利上げも予想される5月、6月FOMCまでが、円安トレードの最も「おいしい」賞味期限とも見られる。その間に130円突破の可能性もあるが、見切りも逃げ足も速いマネーなので、短期的に4~5円の幅で巻き戻しも起きる可能性がある。125円を超える円安水準は現役市場参加者にとって未知の海域でもあるので、ボラティリティー(価格変動)は激しくなりそうだ。

引き続き「日銀は永遠のハト派」、「サンキュー、ミスタークロダ」との声も聞こえてくる。日銀とヘッジファンドのせめぎ合いも続きそうだ。

と、まぁ書いたが、円建て金価格史上最高値で儲けた人は「サンキュー、ミスターパウエル」だろうね。パウエルさんが利上げしてくれるからドル高円安になったのだし、パウエルさんがインフレ退治で後手に回ったために、NY金価格は2000ドル近くの高水準に留まるのだから。それからサンキューとは言い難いが、ウクライナ侵攻で有事の金が買われたことを思えば、プーチン大統領も一役買っている。そう思えば金で儲けた人は、多少なりともウクライナに寄付しないと申し訳ない気持ちになるかも。

さて、今日の写真はズバリ、肉!

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史上最高値騒動に円安126円となると、アドレナリンが湧いてきて無性に肉を食したくなる。Jeff肉食系に変身と言われるほど(笑)。

2022年