豊島逸夫の手帖

  1. TOP
  2. 豊島逸夫の手帖
  3. バックナンバー
  4. 国際通貨投機筋、黒田ラインに挑戦、127円狙い
Page3465

国際通貨投機筋、黒田ラインに挑戦、127円狙い

2022年3月23日

本欄2021年10月15日付けに「円安も外国人主導の展開、118円オーバーシュートも視野」と書き、2022年3月15日付けでは「通貨投機筋、123円狙い、黒田ラインはスルー」と書いた。しかし円安進行が加速するや、年内127円を次のターゲットに設定している。

2015年6月10日に黒田総裁が国会で円安牽制と受け止められる発言をして、124円台半ばから後半が「黒田ライン」と意識されてきた経緯がある。
NY外為市場の騒然としたトレーディング現場では、実質実効相場は意識されず、ひたすら名目レートを追っている。日本経済に関する知見も薄い。

通貨投機筋の顔ぶれも変わった。
これまでは短期筋中心で売買回転も速かった。
そこに今回はグローバルマクロ系ヘッジファンドも参入している。世界の政治経済情勢を読み、中期的なポジションを張ってくる。
それゆえ年内127円「超」を見込み、円買いポジションを積み上げる動きも見られるのだ。

その根拠としては、資源輸入国、少子高齢化、日本企業の生産性低迷などの構造理由が挙げられる。更に3月21日の「パウエル0.5%幅利上げ容認発言」をキッカケに日米金利差の更なる拡大も見込む。なお、ポストクロダの人事にも特に関心を持っている。
「安全通貨」としては、そもそもNY市場ではドルが安全通貨との認識が定着している。「ドルは王様=キングダラー」とも言われる。
「円安では随分儲けさせてもらった」との声が通貨投機筋から聞こえてくる。円安モメンタムは野球に例えれば「まだ5回裏」との見解も聞かれる。昨日のNY市場でもドルインデックスやユーロが動かず、関心は円に向いていた。ドル円の通貨ペアが「最も混み合うトレード」となる可能性がある。

2022年