2022年4月13日
注目の3月米国消費者物価上昇率は年率8.5%と加速。金価格はKITCOグラフ緑線の如く1970ドルを突破後、1960ドル台で推移している。再び2000ドル台を窺う。円相場も125円台ゆえ円建て金価格は連日の高値更新だ。今が最も上昇モメンタムに乗っている時であろう。
FRB高官からはインフレ退治最優先で金融強力引き締め策が相次いで発表されるが、金市場はもはやインフレはFRBの制御不能と見ている。セクター別の物価上昇率もガソリンが突出しているものの総じて全面高になってきた。中間選挙の争点となるは必至だ。
これほどインフレが拡散すると2000ドルでもインフレヘッジとして買う投資家が増えそうだ。それほどに米国のインフレには切迫感がある。
日本でも企業物価上昇率が9.5%まで上昇。既に川上ではインフレ感が強い。川下にもジワリ波及するは必至の情勢。さすがに「物価が上がらない国ニッポン」でもインフレ懸念が市民の間で話題になり始めた。
一方、米国株式市場では8.5%に達したことで、そろそろ物価上昇のピークアウトを唱える市場参加者が増えてきた。株式押し目買いの口実にも聞こえるが、株式市場内では意見が割れている。
対して、金市場にはピークアウトはまだまだ先の話と捉える投資家軍団が集結している。
以下は筆者が今朝書いた株と商品価格高騰についての原稿。
タイトルは「パウエル氏は、株安をどこまで容認するか」。
FRBのミッションは物価安定、雇用安定、そして市場安定にある。
この3目標を同時に達成するのは容易ではない。
今年のFRBは物価安定が最優先課題。政策金利を10か月でゼロから2%超に引き上げる姿勢だ。しかも12日にブレイナード理事(次期副議長候補、議会承認待ち)は、利上げと資産圧縮の総合効果を重視する必要性を強調した。すなわち資産圧縮の規模が利上げ何回分の引き締め効果に相当するかなどが精査されそうだ。その総合効果は利上げ2%超より高く、3%相当に近くなるかもしれない。
仮に短期的にそこまで引き締めれば、株価の下押し圧力が強まる事態は不可避だ。この点を測りかね、足元の米国株式市場は薄商いの中でボラティリティー(価格変動)は激しい状態が続いている。市場参加者の相場観も各種サーベイを見ると強気より弱気の方が明らかに多い。
様子見でキャッシュポジションの配分も依然高いままだ。
強力な引き締め策が株安を誘発することは覚悟している市場が最も知りたいのは、パウエル議長がどこまで株安を容認するのかということだ。「物価安定」を優先させるために「市場安定」をどこまで犠牲にする気か。疑心暗鬼になっている。
当のパウエルFRB議長は勿論「市場の安定には配慮する」との姿勢だが、これだけは実際にやってみないと分からない。
その過程では、これまで「何でも上がる相場」と囃され、過剰流動相場ゆえ買われた分野が、まず売られることが望ましい。しかしマクロ経済に景気後退クラスター弾を撃ち込めば、財務体質良好な企業まで巻き込まれ、犠牲になるリスクがある。
それゆえ、市場の反応も敵役はプーチン大統領ではなく、パウエル議長と身構える姿勢が目立つ。FRB議長と市場の蜜月は終わった。中には「FRBには逆らえぬ」と流れ弾被弾のダメージを最小限に抑えるべく、決算ガイダンスを控えめに出す企業もある。これから米国市場は決算期に入るが、投資家はガイダンスが当てにならないと嘆く。そもそも新型コロナウイルスとウクライナの二大不安定要素により、ガイダンス発表を回避する企業も少なくない。
なお、コモディティー価格高騰がいつまで続くのかも不安定要因だ。一昨年の今頃はマイナス37ドルまで暴落していた原油価格が、100ドル前後の水準まで暴騰している現状は、単なる需給や地政学的要因だけでは説明が付かない。余りに価格変動が激しい実態ゆえ自己勘定で原油を売買するトレーダーが激減した結果、一部の投機筋の草刈り場と化しているのだ。ニッケル売買頓挫の事例の如く、そもそも市場流動性が少ないところにビッグマネーが入り込むと金魚鉢の中の鯉状態にもなりがちだ。この商品先物市場の実態を理解できず、乱高下する商品価格の変動に振り回されている。これこそ投機筋の思う壺だ。米国のドッドフランク法は大手金融機関の原油自己勘定売買に規制をかけ原油価格安定を図ったが、結果的には売り手と買い手を繋ぐ潤滑油役も果たしてきた大手金融機関が相次いでトレーディング部門縮小・撤退に動き、市場の流動性が減少して価格変動を激化させる羽目になった。そもそもLMEの事例に見られるようにギルド的色彩の濃い商品取引にメスを入れることも必要だ。とは言え今となっては間に合わない。米国の中間選挙では商品先物価格の乱高下が庶民生活を脅かす現状の改革がひとつのテーマになるかもしれない。商品価格高騰が中間選挙更には大統領選挙を左右しかねない異例の成り行きだ。CFTC(米国商品先物取引委員会)の対応も注目される。ひとつ確かなのはFRB金融政策の管轄外ということである。
その中で金はお咎めなし。規制の対象外。
その理由は金高騰で庶民の家計圧迫とはならないから。
金は皮肉なことに「原油と異なり生活する上で役に立たない」ことが幸いして、金価格が上がっても政治問題化しないのだ。金はドッドフランク法の規制にも引っかからなかった。
さて、今日の写真は早くも京都から届いた筍!
京都の筍は食用たけのこ「孟宗竹」。1200年前に唐から寂照院道雄上人により長岡郡地区に持ち込まれた。「白子たけのこ」と言われ、色の白さと刺身ができるほどの軟らかさ、加えて独特の風味が特徴。
現地で筍掘りしたこともある。冬季はたけのこ畑一面に藁を敷き、その上に土入れという重労働があることも知った。
長岡京方面の大原野(観光地の大原とは違うよ)の知り合いの生産者から直送。炊くときもアク抜き不要。まずはシンプルに焼く、あるいは炊く。これが一番!行きつけの祇園「味 らく山」の大将の熱の通し方はプロだね。基本的なところにプロの実力が出るもの。そして相性がいいのがイタリアン風。ゴルゴンゾーラ(クセのあるチーズ)とのパスタなどは特に旨い。