2022年7月7日
米国独立記念日(7月4日)連休を挟み、商品市場の潮目が変わった。典型的コモディティーとされる原油が唐突に急落したことが象徴的だ。要因として米経済リセッション(不況)懸念とドルインデックスが107という新高値まで急伸したことが挙げられる。コモディティーと通貨の二面性を持つ金も晴天の霹靂の如く売りの連鎖に見舞われた。6日も続落。1740ドル台で推移している。産業用貴金属でコモディティー性の強いプラチナは850ドルまで下げている(長期投資の視点ではプラチナは買いと見る)。
そもそも商品先物市場はレバレッジにより価格変動が激しい。理論的にはオーバーシュート(上振れ)やアンダーシュート(下振れ)を繰り返し需給均衡点に収斂するはずだ。しかし実際には理論的需給均衡点となる価格水準を特定することは極めて難しい。今の原油市場では、ゴールドマン・サックスの140ドル説に対してシティーが65ドル説を標榜している。投機的価格形成を連想させる価格予測だがFRBは重要なインフレ関連指標として無視できない。悩ましいところだ。
債券市場も当惑。逆イールドが再発した。政策金利に連動する傾向が強い2年債の利回りは2.7%台から3%近くまで急騰。日中の変動幅としては異例の値動きだ。対して将来の景況感を映す10年債利回りは3%の大台突破後、2%台に反落している。まさに超金融引き締めにより実体経済が痛むシナリオを映す逆イールド現象だ。日本時間7日午前中には時間外で2年債が2.99%に対して10年債は2.92%をつけている。6月FOMC議事要旨で、景況悪化も恐れず大幅利上げを強行する姿勢が確認されたので、長短金利差逆転幅は拡大中である。
なお、商品市場では4-6月期に株価と仮想通貨の急落により大きな損失を被り、顧客をつなぎ止めるのに必死のヘッジファンドが、コモディティーの買い持ちポジションを換金売りする事例も見られる。
ひとたび下げ始めると、特に新たな材料がなくても売りが売りを呼ぶ連鎖現象が起きやすい。とは言え商品市場の潮目が変わっても、パウエルFRB議長は素直にインフレ鎮静化のシグナルとして歓迎できない。
それでも市場が見る今回の利上げの最終点(ターミナルレート)が、4%近くから3%前半にまで下落してきたことは注目に値する。7月FOMCでは0.5%から0.75%の利上げとなりそうだが、9月FOMCでは商品価格反落に歯止めがかからないと点検の上で利上げ一回休み(pause)の可能性も捨てきれない。
筆者の注目は、ドル実質金利が長く続いたマイナス圏からプラス圏に上昇して常態化してきたことだ。これは金利を生まないリスク資産であるコモディティーへの投資には不利な市場環境と言える。夏休みで商いが薄い時期も投機筋に狙われやすい。FRBも神経質に見守ることになろう。
さて、今日の写真。ご近所付き合いのマガーリマダムとシェフが家族の誕生会に来てくれた。プロによるふわふわニョッキとティラミス。ニョッキのフワフワ感、そしてプロがティラミスを作る過程を台所で見物。こういうベーシックなデザートにこそプロの実力が出るもの。アットホームで有り難いことだよ。マガーリ産のワンちゃん(ナッツと豆助)は「ちゅ~る」でご機嫌(笑)。先日、日経新聞朝刊で2面30段に亘って「いなば食品」の「ちゅ~る」の全面広告を出していたけど、まず「ちゅ~る」を拒むワンちゃん、ニャンちゃんはいないね。超売れ筋なのだろう。私は3代目の猫が死んじゃってから未だにペットロスを引きずっている。相場はドライに引きずらないけど(笑)。