豊島逸夫の手帖

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11月FOMC議事録発表

2022年11月24日

11月1~2日に開催され0.75%利上げを決定したFOMCの議事録が昨日発表された。

結論から言うと、参加者ほぼ全員がそろそろ利上げ幅を0.75%から、例えば0.5%に減速すべきとの意見であった。まずはこれまでの0.75%4回連続接種の効果を点検するための利上げ減速だ。金市場は12月FOMCで利上げ幅が0.25%でも縮小されれば歓迎。1750ドル台まで反騰した。

しかし、これからが実質的本番。
まず2023年に入っても、例えば0.25%とか0.5%の利上げを継続するのか。更に最終的に政策金利が5%を超える状況になりそうだが、その高い金利水準を何か月続けるのか。対インフレワクチン接種効果にはタイムラグがあり、半年から1年近く5%程度の水準を継続する必要がある。インフレは緩めるとぶり返す可能性があるので、徹底的に根絶やしする必要があるのだ。
従って、利上げ減速はまだまだ序の口。利上げの過程の極めて重要な局面はこれからなのだ。

一方、市場は感謝祭モードで取引は薄い。
現価格水準はあまりまともに考えない方がいい。
特に0.75%利上げを4回連続接種しても米国景気は悪化していない、つまりインフレワクチンが効いていない兆しも見られるのだ。

特筆すべきは10-12月期の米国経済成長率が市場の想定より上振れしていること。アトランタ連銀が平日毎日更新して発表する「GDPNow」は11月FOMC初日の1日には年率2.6%であったが、23日には4.3%まで上昇した。その間に発表された10月米国小売売上高は前月比1.3%増加している。コロナ禍で蓄えられた米国個人マネーは1兆ドルを大きく上回ると推定されており消費は堅調だ。筆者の注目はクレジットカード使用率である。たまたまVISAのCEOが交代ということで後任紹介のためテレビ経済番組に出演した時、高級スーパーより中級スーパーの方が使用率は高いと語っていた。日常品は値が上がる前に買いだめの傾向が強いが、特別な買い物には慎重な姿勢が見られるようだ。

そもそもGDPの7割近くは個人消費のため、ここで過熱状態が続くとインフレがぶり返す可能性がある。FRBとしてはダメ押し的な利上げを強いられるシナリオだ。
それゆえ、繰り返すが「利上げ減速は未だ序章」なのだ。シートベルトは低くきつめに締めるべし。乱気流に注意。

さて、W杯サッカー日本代表はやったね~~。
実は筆者は昨晩、例によって仕事をしていたので、たまたま読み始めたウォールストリートジャーナル紙のトップ面の日本勝利番狂わせの見出しで知った次第。経済紙がトップ面にこの記事を持ってくるのだから世界的なインパクトだったのだね。
試合の経過を見ると、トレーダー感覚では月の前半は全くリターンを出せず、後半の後半にビッグチャンスが回ってきて、最終的にはきっちり数字を出した如き展開であった。
何にしても爽快!

2022年