豊島逸夫の手帖

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パウエル議長発言で金利急騰

2022年4月22日

21日のNY市場の注目はパウエルFRB議長とラガルドECB(欧州中央銀行)総裁参加という珍しい組み合わせの檀上討論会であった。

その席でパウエル議長は「利上げ幅0.5%も検討の対象」と明言した。通常FRBの利上げは0.25%刻みなのだが、インフレ進行が想定を超えるスピード(年率8%超)なので、小刻みに連続利上げしてもインフレの勢いは衰えないとの認識だ。そもそも0.5%刻みの利上げはFOMC内で超タカ派とされるセントルイス連銀ブラード総裁が言い始めたことで、当初は極論とされていた。それが今や主流の議論になった。そのブラード総裁は更に突っ込み、「0.75%刻みにしないとインフレ退治の効果は期待できない可能性がある」とまで言及している。これも当初は極論扱いだが、ハト派主導格のサンフランシスコ連銀デイリー総裁が0.75%利上げ幅を否定しなかったことで、いずれパウエル議長も同調する可能性が出ている。いかにFRBがインフレ対応に後手を取り、焦っているかが露呈した。インフレを火事に例えれば、消防車2~3台出動すれば消火できると踏んでいたのが、類焼拡大で梯子付き消防車数台を動員する羽目になった感がある。

このままいくと5月FOMCから3回連続で0.5%利上げとの観測も出始めた。年内には政策金利を2%まで引き上げるとの認識が、年内3%まで引き上げるシナリオも浮上している。この利上げペースを織り込む形でNY債券市場では10年債利回りが2.93%、2年債利回りが2.71%まで急騰中だ。3%の大台が視野に入る。

それほど強い利上げを連発して、果たして副作用の景気後退が生じないのか市場は懸念する。スタグフレーション(物価上昇と景気後退の同時進行)も考えられる。

金市場の反応だが、強力な利上げ攻勢で首尾よくインフレが鎮静化すれば、インフレヘッジとしての金の出番はなくなる。

一方、これほどの利上げでもインフレが制御できないということになれば、インフレヘッジとしての金がさらに買われることになる。スタグフレーションともなれば、景気後退で株は売られ、物価上昇で国債・預金は実質価値が目減りするので、金の独り勝ちになる。

現時点で今後の展開が読み切れないので、国際金価格は1940~50ドル近辺でくすぶっている。とは言え依然として歴史的高水準に変わりはない。

なお、米利上げが加速すれば、円安は130円を突破するであろう。
昨日はNHKの外為関連取材を受けたが、今や円安が国民の関心事になってきた。

さて、今日の写真は我が家の花だが、例年GWに咲くが今年は異常に早い。やはり異常気象か。早速白薔薇を見ながら京都の筍ピザを食す会を開催することに。外出や人出を避け、アットホームなGWになりそう。

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2022年